おくすりのじかん
昨日は京都に出かける妻を駅まで送り、帰りにレンタルショップKUNI太郎へ。
先日借りた「エイリアンVSプレデター2」があんまりな内容だったのでリベンジである。
「エミリー・ローズ」と「ガンダム イボルブプラス」をレンタル。
このお店はBOOKOFFタイプの中古書店である復活書房やローソンまで隣接しているので私にはまことに都合がいい。
久しぶりに少女漫画が読みたくなり復活書房にて「お父さんは心配性」という伝説的なギャグマンガをさが探したが発見できず、代わりに深見じゅん氏の「ぽっかぽか」(集英社)14巻と15巻を買う。2冊で210円也。安いっ!
「ガンダムイボルブ」はガンダムシリーズをいろんな角度から5分くらいのショートストーリに仕立てたもの。出撃直前のアムロの脳裏にかっての戦闘がフラッシュバックしたり(エピソード1)、モビルスーツが中国武術ぽい動きをしたり(エピソード3)、(←明らかに「北斗の拳」のパロディが入っている。多分1巻のケンシロウとシンの戦いの場面?)好きな人はハマるのだろうが…個人的にはこうしたアナザーストリーなら「MSイグルー」とかのほうが好きかも。
時々「ぽっかぽか」が読みたくなる。
若い夫婦が幼いあすかを育てる日常がつづられている。
読後感がすごく重く感じるときもあるし、逆に、作者の気合、というより思いの強さがとても深く響いてくる話もある。
そして作者が作品の中の登場人物たちをとても慈しんでいるのが伝わってくる
14巻の「おくすりのじかん」(「お薬の時間」)はとても考えさせられるお話だった。
【以下、ストーリーの具体的内容に触れますので未読の方はご了承下さい】
あすかが発熱して、脱水症状になり入院することになった。
夜、病院のベッドで目覚めたあすかは母の姿を求めて病院内を歩く。
入院中の老女エイコの病室に入ったあすかとエイコの会話
「…びょうきなの」
「アタシかい?そうだよもうすぐ死ぬんだよ」
「しんだらどうなるの」
「…子供ってとんでもない質問をするね。アタシはまだ死んだ事がないからホントのところは分かんないけど、アタシの母さんはこう言ってた
死んだらまず川を渡る
一面のお花畑
明るくていい匂いがして風が気持ちいい
大きな優しい人が『よく来たね』と抱きしめてくれる
『よく生きたね』と頭をなでてくれる…」
エイコはあすかに語りながら、母親の言葉を思い出していた
人はそうやって死ぬんだ
でもね死ぬ前にやっとく大切なことがあるのさ
許してそして許される自分が受けた嫌な事
嫌な人をぜーんぶ許して自分がやった悪いことをあやまる
そうしてさっぱりきっぱり死んでいくんだよ…
エイコは自分が「天使」から極楽に行く方法を思い出す薬をもらったと家族に語り、それまで八つ当たりしていたことをわびて穏やかに死を迎える。
人はいかに死なないかを求めることはあっても、いかに死ぬべきかを考えることはあまりに少ない。
人は決して死を逃れることはできない。
「徒然草」に「人、死を憎まば、生を愛すべし」という言葉があったと記憶している。
まだ若いときにその言葉に強くショックを受けたが、今は生だけでなく、死もまた愛していいのではないかと思う時がある。
自分の荷物をおろすことがなかったら前には進めない。
死とは誰にも訪れる清算である。それはある意味とても有り難いことなのでなないだろうか。自分の生を総括して、また前にすすんでいく。次の生に向かって。
この作品では輪廻を思わせる、命の連続についても語られている。
さわやかな、それでいて深みのある素敵なお話だった。今度、法話で使わして頂こう…
「おくすりのじかん」は次のような作者の言葉で締めくくられていた。
『いいのよそんな事』と誰かに言う
『ごめんなさい』と誰かに言う
許してそして許される
それが心の「おくすりのじかん」