あなたにとっては死もひとつのギャグなのかもしれない…

【お知らせ】
 
いつもコメントを下さる雲(うん)様がブログを始められたそうです。
禅寺の大黒さん(お寺の奥さん)であり仏師、そして一児の母である雲様の日常を綴ったブログを一度ご訪問されてはいかがでしょうか
http://happy.ap.teacup.com/un2008/5.html
ちなみに本日の「下着を放て!!!」はかなり秀逸だったことを付け加えておきます…




 漫画家の赤塚不二夫氏が亡くなった。
 赤塚不二夫氏が漫画やテレビに非常に大きな影響を与えたことを考えると日本のメディアに巨大な足跡を残した方だと言えるだろう。

 8月7日の産経新聞には赤塚氏の死去を追悼する泉麻人氏とみうらじゅん氏の対談が掲載されていた。
 赤塚氏の作品の根底にはジャズが流れているという一節はとても納得にいく表現だった。
 確かに赤塚氏の作品にジャズを感じることがあった。そして無軌道なのだが不思議と下品さや残酷さを感じないことが多かった。

 告別式では親交の深かったタモリ氏が弔辞を奉読された。
 タモリ氏の弔辞は全文が故人との親しい交わり、故人への愛情を感じられる素晴らしい文章だった。

 <あなたは今この会場のどこか片隅に、ちょっと高いところから、あぐらをかいて、肘をつき、ニコニコと眺めていることでしょう。そして私に『お前もお笑いやってるなら、弔辞で笑わせてみろ』と言っているに違いありません。あなたにとって、死も一つのギャグなのかもしれません。私は人生で初めて読む弔辞があなたへのものとは夢想だにしませんでした。>

 赤塚氏の作品に「これでいいのだ」という有名な台詞があるが、雲(うん)さんという、いつもコメントを下さる方からこの台詞は禅に通じるというコメントを頂いたことがある。この台詞についてもタモリ氏は以下のように触れておられる
 
 <あなたの考えは、すべての出来事、存在をあるがままに、前向きに肯定し、受け入れることです。それによって人間は重苦しい陰の世界から解放され、軽やかになり、また時間は前後関係を断ち放たれて、その時その場が異様に明るく感じられます。この考えをあなたは見事に一言で言い表しています。すなわち『これでいいのだ』と。>

 そして弔辞の最後は「私もあなたの数多くの作品の一つです」という言葉で締めくくられていた。

 葬儀とは故人にとっても、残された者にとってもとても大切なものであると思う。
 優しさ、明るさ、前向きさなど赤塚氏の人生の優点をタモリ氏は語ったおられたが、素晴らしい葬儀であるとは亡くなった方の人生が素晴らしかったということの表れなのだろう。


 「天国に持っていけるのは自分が他人に与えたものだけだ」という言葉がキリスト教にあるそうである。人を幸せにするために為した努力は尊いものであり、必ず自分自身への実を結ぶ。そのように信じて自分の人生を歩めたらどんなに素晴らしいことだろうか。


 【追記】
 タモリ氏の弔辞全文 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080807-00000908-san-soci

 Youtubeにはタモリ氏が弔辞を朗読される映像がアップされている。「タモリ 弔辞  赤塚不二夫」などの語で検索、参照されたい。