少年の夏

今日は兼務している山寺に留守番へ。

このお寺には小さなサツマイモ畑があるのだが、最近、この畑に回りにイノシシが盛んに出没していると、畑の隣に住む檀家さんが教えてくれた。

畑の回りはトタン板で柵を作って囲ってあるのだが、夜8時くらいになるとイノシシが鼻先でトタン板をゴンゴン叩く音が聞こえるという…
最近も夜中に外へ出たら大小10匹くらいのイノシシがたむろしていたそうである。
数年前にはこの畑にイノシシが入ってサツマイモが全滅したこともある。
仕方がないので今日の午前中は住職と二人でトタン柵の補強を行った。
久しぶりに外で作業したが、随分と気温が低くなったのが肌で感じられる。


このお寺の庫裏には妹夫婦が暮らしている。
郵便物を受け取りに行くと、小学校1年の甥が遊んでいた。大変機嫌が良かったのだが、夏休みの宿題の話になると途端にさーっと顔色が暗くなった…
妹によれば「死んでしまいたい」と漏らしているそうである(笑)そう言う妹自身、小学生の頃はやはり夏休みの宿題ができなくて泣いていたし、私も登校日の当日の朝早く青白い顔をして宿題をしていた記憶がある。取り掛かりの遅いのは遺伝的なものであるらしい…

昨日、たまたま陰山英男「本当の学力をつける本  学校でできること家庭でできること」(文藝春秋)という本をパラ読みした。

筆者は人口7000人ほどの小さな山間の教員だったが、音読や百ます計算など読み書き計算の反復練習を学力向上につなげるとりくみによって卒業した子供達が難関大学への合格者が続出したという

子供にとっては自然の中で虫を捕まえたり、走り回って遊ぶこと何より大切なことは言うまでも無いが、親自身が家庭教育に関して情報を集め、実践することはとても大切だと思っている。

そして、子供と親や周囲の関係がしっかりとした人間関係で結ばれていることも不可欠の条件だと思っている。子供の情緒の安定や深さは知育の発達とも深い関係があるのではないかと思っている。

昨日、このお寺の庫裏で祖父母の法事を行ったが、京都市内から参加してくれた母方の叔父に子供の頃、とても可愛がってもらった記憶がある。
この叔父は私や妹がいたずらを仕掛けると必ず引っ掛かってくれたのである。小さかった私や妹はそれが嬉しくて仕方の無かったことを今でも鮮明に覚えている。
今でも私が子供と遊ぶのが好きなのはこの叔父の影響があると感じている。

子供にできるだけ良い影響を与え、できるだけ悪い影響を減らす…簡単なようで難しいことだが、親を始めとする大勢の大人達が幼かった私にそうした努力をしてくれたことが今の私へと脈々とつながっている…昨日の法事で参加してくれた親戚の顔をひとりひとり見ながらそんなことを考えた。


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