筆坂秀世「日本共産党」を読む

   【山寺の本棚】

 午前中は法事へ。
その家に小学校3年生の男の子が居たので「夏休みの宿題すんだ?」と聞いたら急に顔色が悪くなった。うかつな質問であったと反省。近年は8月27日くらいから学校が始まるので今は追い込みの時期なのだろう。登校日に半泣きで宿題をやったことを思い出した…少年よ、健闘を祈るっ!



 昨日、寝る前に筆坂秀世氏の「日本共産党」(新潮新書)を読み始めたら止まらなくなった。
 前から気になっていた本だが新古書店で200円だったので即買した本である。

 党歴39年にして共産党ナンバー4という筆者の描く共産党の姿は大変に生々しい。
 念のためにいっておくとこれは暴露本の類とは違うということである。
 行間からは筆者の党に対する切実な思いが伝わってくる。またその筆致も冷静で理を尽くしている。止むに止まれぬ理由で離党した筆者には同情を禁じえない。

 共産党に入党する人達というのは筆者のように純粋で社会の正義に思うところある人々なのだということを改めて感じた。
 また共産党が議員をサポートする有能な秘書団や専従のプロジェクトチームによる精密な調査活動を始めとして政党として極めて優れた組織能力を持っていることも良く分かる。

 但し、総体としての日本共産党はあまりにも奇麗事と建前に終始しすぎである。
 本書に描かれる引退前の宮元顕二氏の凄まじい独裁ぶりはどのように考えても民主的とはいい難いし、北朝鮮による拉致問題の追及に強く反対したのも日本共産党である。
 この中に描かれている日本共産党は様々な矛盾を抱え、組織の疲弊も目立つ。

 最近、小林多喜二の「蟹工船」ブームをきっかけに共産党への入党者が増えているという報道があったがどうも眉唾である(笑)

 ちなみに私にとって地元の共産党の印象ははなはだ良ろしくない。
 橋やなどの公共建造物や、河川など地権の不明瞭な土地にやたらと共産党のポスターが掲示してあるからである。
 どう考えてもルール違反である。選管も警察も黙認しているのが不思議でしょうがない。
 多くの政党の中でこのようなルール違反を犯しているのは共産党だけである。基本的なルールに違反しておいて社会の正義を謳っても説得力は無きに等しいことに早く気づいてほしいものである。