「スミス都へ行く」(“MR.SMITH GOES TO WASHINGTON”)

 今日も蒸し暑い一日だった。

 兼務している山寺の畑から帰ってきた住職がトマトを何個か持ち帰ってきた。
 これがお寺の畑で採れた最後のトマトとのこと。行く夏を惜しんで夕食に美味しく頂いた。
 夕食には初掘りのサツマイモのてんぷらも。去るものあれば来るものありである。

 夜9時半に町内会長さんから電話があり、昨日、近所で熊が出没したとの知らせ。
 そういえば庭で不審な物音が何度か聞こえたが大丈夫か…
 一応、寝ていた住職をい起こして、うかつに外には出ないように注意した。熊の出没にも秋の深まりを感じるこの頃である。

 先日、芳崎せいむ氏のマンガ「テレキネシス〜山手テレビキネマ室」(小学館)を読んだ。

 毎回のストーリーの中に名作映画の内容が巧みに織り込まれている。
 第2話ではロバート・ロッセン監督の「オール・ザ・キングスメン」が取り上げられていたのだが、一緒にフランク・キャプラ監督の「スミス都へ行く」(“MR.SMITH GOES TO WASHINGTON”)についても解説があった。面白そうなので地元のレンタルショップ「KUNI太郎」で早速、借りてみたのだが、いい映画だった…珍しく2粒くらい涙がこぼれてきてびっくり。

 田舎のボーイスカウトの団長だったスミス青年が地元の黒幕の利益誘導にために上院議会に送り込まれる。ところが地元有力者の不正に気づいたスミスは徒手空拳で議会に戦いを挑むのである。前半の重い感じ、甘ったるい感じはいかにも古い映画だが、後半のスミス氏の活躍は素晴らしい。
 <正義の人には敵はつきものである。バカにされようが、笑われようが、戦い続けろ。そんなバカだけが世の中を良くできるんだ>というこの映画のメッセージをしかと受け取れば胸が熱くならずにはいられない。日本の政治家には是非観ていただきたい映画である。

 とにかく主人公スミスを演じるジェームス・スチュアートのバカ正直ぶりが素敵である。
 主人公を演じるジェームス・スチュアートは痩せてて、やたら背が高い。アメリカ人ならすぐその意味が分かるのだろうが、私はようやく後半になってその意味が分かった…真っ正直な直球勝負の映画なのだが、決して現実の厳しさからも眼をそらしていない。
 俳優は皆素敵だが、上院議会の議長を演じたハリー・ケリーという俳優がとても素敵だった。議長としての公的な発言くらいしか台詞がないのだが、主人公を見つめる眼差しやちょっとした仕草になんともいえない味わいがあった。
 
 いい映画を観ると心が軽くなる。
 家に居るのがなんだかもったいなくて田舎の国道を1時間ほどドライブした。