萩の寺を訪ねて


舞鶴ご近所日記】

 昨日の京都新聞に綾部にある岩王寺(しゃくおうじ)というお寺で行われた法要の記事が載っていた。
 住職にこのお寺について尋ねると先代住職とは長く親交があったとのこと。そのうち、先代住職のお墓参りに行ってこいみたいな話になり、本日は妻を連れて出かけることになった。綾部といっても私の住む舞鶴との境界付近にあり、かなり近い。

 岩王寺は山手にあるお寺で田んぼを抜けて山の中ずんずん入って行かねばならない。
 岩王寺に着いて車から降りると妻が「ウチと同じ匂いがする」とのこと。
 山寺の匂いというのがあるのかもしれない…

 この岩王寺は萩のお寺としても知られているそうである。茅葺の仁王門の脇に赤い萩が30株ほど植えられていた。
 能筆家として知られる嵯峨天皇がこの付近で採れた石を硯石として珍重したところから「岩(石)の王」という名前になったそうである。お寺のある地名は七百石(しちひゃっこく)というが昔は7百石もの領地を安堵されていたというから凄い。御住職は不在だったが先代住職のお墓の場所を住職に聞いていたので無事お墓参りを済ませることができた。

 山寺に帰って広辞苑を見るとちゃんと「石王寺しゃくおうじ」という項目が載っていた。かってはよほど有名な硯石の産地だったらしいが、今は地盤が崩れたために産出しなくなったそうである。

 岩王寺を出た後、隣の福知山市にやはり萩寺として知られる養泉寺という禅宗のお寺があるのを思い出したので、せっかくなのでお参りすることにした。今日は萩尽くしである。

 このお寺は萩寺として知られるだけあって駐車場から参道、本堂前などに沢山の萩が植えられていた。後醍醐天皇が篤く帰依したという由緒正しい禅寺だが、全体にとてもよく手入れが行き届いている。ウチとは大違いである…手入れの仕方も洗練された感じであこちに木製のオブジェが置かれてあったりする。なかでも鹿をかたどったオブジェが多くて妻がとても気に入った様子。萩の別名に「鳴鹿草」という呼び方があるのでそれにちなんだのかもしれない。

 本日は萩で知られるお寺を巡ってみて、お寺の景観を整える上ではやはり花木がとても大切なのだと改めて実感した。
 花の存在は人の心を和ませる。ウチのお寺も花のたくさん咲くお寺にしたいと思わずにはいられなかった。