今から考える葬儀のこと

産経新聞の「ゆうゆうライフ」では三回にわたって「今から考える葬儀のこと」という特集が組まれた。本日掲載分はその最終回である。

今回も中身の濃い内容である。
かって人が亡くなると自宅で地域の人とお寺によって大切に弔われたが、今日では葬儀社によるホール葬がその中心である。

自宅での葬儀を行うためには様々な労力が入る。

田舎では車で移動することが多いので駐車スペースを確保する必要があるし、家の中の片付けや準備は大きな負担となる。
それでもお年寄りの中には自分の家からお葬式を出してほしいと思っている方も少なくない。

以前、自宅でお葬式をしたいと言っておられた檀家さんがおられたが、この方が亡くなった時も結局、周りに迷惑をかけたくないという遺族の意向でホールでの葬儀になった。今でもこの方のことを思い出す度に申し訳ないという気持ちがする。だが、自分の死について家族と率直に話す機会はなかなか無いというのも仕方ないことであり、とても難しい問題だろう。

葬儀社が葬儀の主導するようになった以上、自分や家族の死に際して葬儀社とどう付き合うかを考えておく必要がある。

生前に積立金を払って葬儀に当てる互助会の会員が全国に2300万人もいるそうである。
互助会の積み立ては貯蓄ではなく葬儀費用を分割して払っているものである。生命保険と一緒で加入者側のメリットは大きく、企業側のメリットは分かりにくく説明して勧誘されることが多い。

公正取引委員会が互助会に説明すべき項目として

積立金を完納した後の割り増しサービス
解約した後に払い戻される積立金の額
互助会が倒産した場合に保全される金額

の3点を挙げている。

互助会の規定するサービスに「違反」すると違約金などを請求されるケースもある。解約すると元本割れすることにも注意する必要がある。互助会に加入する場合は十分な確認が必要だろう。

最後に記事より【葬儀社選びの10カ条】を引用させて頂くことにする。

1 葬儀のイメージを固め、価格、場所、サービス・質について、優先順位をつける
2 担当者の電話対応、身だしなみ、立ち振る舞い、葬儀社のトイレをチェックする
3 事前に割引を強調する業者は要注意
4 予定人数を示し、料理、返礼品、宗教者へお礼など、項目ごとの見積もりを頼む
5 見積もりと葬儀施行は同じ担当者に
6 火葬のみ、市民葬などの要求を快く受けてくれるか
7 夜中のお迎えなど、細かな要望に応えてくれるか
8 「せめてこれくらいは」など、人の心につけこむところは要注意
9 地元の評判、依頼した経験者の話を聞く
10 2社以上から話を聞き、比較する



 やはりお寺には葬儀社に関する情報も集まってくるので、自分の菩提寺の御住職に地元の葬儀社の良し悪しについて尋ねるのが手っ取り早いかもしれない。地元でメジャーな葬儀社があまり良くなくて、小さな葬儀社でも良心的な葬儀をしてくれることがあるからである。幸いなことに地元に悪質な葬儀社がいるという話も聞かない。何社かある葬儀社について複数の話を聞き。比較するのが一番のようである。


但し、病院で亡くなった場合、葬儀社に電話した後はその業者の主導で葬儀が進むことが多い。やはり前もって自分や家族の死について考え、最低限の準備と情報を集めておくことが必要だろう。

自分の死について考えるだけでなく、葬儀社との付き合いも生前に考えなくてならないとはなかなか大変な時代である。