今月の「寺門興隆」

 本日届いたお坊さん専門雑誌「寺門興隆」(興山社)を読んでいたらいろいろと面白い記事があった

 富山県で続発している骨壷盗難事件。

 女性の遺骨ばかりを狙って窃盗をくりかえして犯人がいて「骨もらいました。老女マニアより」などと書置きがしてあるという。
 何とも不気味な話である…昔は遺骨が肺結核に効くとされて遺骨が盗まれることが多かったと聞いたことがある。ちなみに罪状は遺骨領得罪だそうである。こんな法律があるとは知らなかった…

 特集は「突然異教徒が寺にやって来たらどうしたらよいか!?」
 突然、お寺にやってきて宗教論争を吹っかける人達がいるのでどうしたらよいかというお話である。
 実はウチの山寺でも電話がかかってきて「日蓮宗に改宗しなさい!」と怒られたことがある。これは他宗を論破する折伏(ちゃくぶく)といわれるものである。

 先日、兼務している山寺に行く途中、二人連れの女性がうろうろしていた。
 服装から判断して明らかに地元の方ではなかったので、遠方の親戚でも訪ねてきたのかなと思って声をかけたらキリスト教系の「Eの証人」という団体の勧誘の人だった。
 ここはとにかく勧誘に熱心で2年に一回くらいみかける。

 私が作務衣姿だったのでお坊さんと分かったらしく「さすがに聖書は読まれないですね」と尋ねられたので「時々読みますよ、深い内容のことが書いてありますね」と正直に応えたらちょっとビビってた(笑)

 自分の信仰に確信があるからこそ積極的に布教できるわけだが、妄信や盲信としか思えないものが多い。信仰が厚いのは素晴らしいが、残念といえば残念である。

 付録の冊子である法話特集には毎回、篠原鋭一さんという曹洞宗の御住職が寄稿されていて勉強になる話が多い。
 今回は神奈川県のS百貨店にあった巨大なカラクリ時計を見た女性が、その楽しさに勇気付けられて自殺を思いとどまったというお話である。
 私達はささいなことで自分を見失ったり、また小さなきっかけで立ち直ることもある。
 人の心は不思議であると思わずにはいられない。

 それにしても最近、「寺門興隆」を読むたびに思うのはお寺という存在は本当に沢山の問題に直面しているのだということである。

 それらをひとつづつ乗り越えるためにも、眼の前の小さなこと、ささいなことをおろそかにせず精進していきたいと思うのである。