土井たか子さんに読ませたい本の話


社民党の名誉党首である土居たか子氏が次期衆院選に選挙区、比例区とも出馬しないことが報じられた。

共産党社民党の大好きな京都新聞では早速、カラー写真付きで報じ、土井氏を褒めちぎっていた。コラムの「凡語」に至っては『護憲の「おたかさん」の気迫をもう一度見せてほしい』とのこと…

  旧社会党は護憲を党是として、自衛隊違憲と断じ、消費税に絶対反対の立場をとっていたにもかかわらず、村山富市氏が首相になったとたんあっさりと公約をひっくり返して、消費税を3%から5%に引き上げ、自衛隊を合憲としたのである。

 以前、土居氏はNHKのインタビューの中で自分は化石といわれても、シーラカンスといわれても主張を変えませんと言い放っていたが、笑止千万である。社会党とは曲学阿世のお手本なのである。

 社会党の罪は重い。
 その社会党の立役者である土井氏の罪も極めて重いと私は思っている。
 とりわけ村山首相は1994年7月20日に第130回国会での所信表明演説において「自衛隊合憲」「日米安保堅持」を明言した。

 旧社会党自衛隊違憲と主張し続けながらも、政権をとるや否や合憲と認めたことは戦後の憲政史上最悪の公約違反であると思っている。

 憲法も民主主義も決して「人類普遍の原理」(日本国憲法前文)ではなく、近代の欧米社会の歴史とキリスト教が生み出したものであるとして独自の視点から憲法の問題点を描いた本がある。

 小室直樹氏の「痛快!憲法学」(集英社インターナショナル)である。これはとても刺激的な内容の本である。カバーイラストは江口寿史。挿絵は何故か原哲夫氏の「北斗の拳」(←大好きっ!)である。どうも「憲法」と「拳法」を掛けているらしい…

 本書には時々「えーっ!」と驚くようなことが書いてある。

 日本国憲法は日本が第二次世界大戦の失敗に鑑みて第九条のようなオリジナルな平和主義を独自に作り出したと考えている日本人が多いが、この第九条は1928年に締結された「ケロッグ=ブリアン条約」(不戦条約、パリ条約とも)の一部を引き写したものであるという。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E6%88%A6%E6%9D%A1%E7%B4%84
(例えば「国際紛争解決の手段としての戦争」という表現もちゃんと出てくる。)

 アメリカではこの「ケロッグ=ブリアン条約」を批准する際に「不戦条約は自衛戦争までを禁じるのか」という激しい論争が起こり、同条約の批准に尽力した国務長官ケロッグが上院に喚問され自衛戦争は不戦条約が放棄すると明言した「戦争」の対象外であると証言し、アメリカも同条約を批准したという経緯がある。

 小室氏によれば憲法第九条がケロッグ=ブリアン条約のコピーである以上、自衛戦争は決して第九条の放棄する戦争の対象とならないと言う。

 なんとも痛快な説明ではないだろうか?

 憲法が国家の自衛権を否定するか否かについては国会で何度も議論が空転しているが、そうした無駄な議論は日本人の多くが「戦争の放棄は日本国憲法オリジナルなものである」という誤解から生じたものであるという。
 傾聴に値する議論である。

 小室直樹氏の憲法論については「日本国憲法の問題点」(集英社インターナショナル)もお勧めである。
 合わせておたかさんにお勧めしたい。