稀人来たる 

 

本日は地元舞鶴の商工観光センターで清水寺管主森清範僧正の講演会が行われた。

数ある京都のお寺の中でも清水寺は格別の存在である。京都と言われて真っ先に頭に浮かぶお寺であろう。
その清水寺管主のお話が聞けるとあって300人以上収容できる大ホールは満員の盛況ぶりだった。

管主の御声は良く通り、独特のリズムと間があって、その内容も聴衆を飽きさせない緩急自在のものだった。1時間半があっと言う間に過ぎた。最後には2畳くらいある大きな紙2枚にそれぞれ「観」「慶」の二文字を書かれた。

毎年、清水寺では歳末にその一年を回顧して一文字を大書するのがすっかり名物になっているが、それを私達の眼の前でやって下さったわけである。会場は大いに盛り上がった。

さて管主の御話の中から印象に残ったものをひとつ。

ある法事でお坊さんの長くて、難解なお経が延々を続いた。
大人は我慢できても、子供は退屈で仕方がない。小さな男の子が我慢できずにイタズラをはじめた。
部屋のあっちこっちをうろうろしたり、果てはお坊さんのそばへ行って顔を覗きこんだり…しまいに大声でわめきだした。その家のおじいさんがたまりかねて、一言
「コラ、坊主、静かにしろっ!」
と怒鳴るとお坊さんが振り返って
「もうじき終わります」と言われたそうである…

もちろん森管主はこんな話ばかりされた訳ではなく(笑)諸法無我諸行無常にまつわる有難い御話をしてくださった。
我々凡人は肝心の内容よりどうでもいいことをしっかり覚えているというだけの話である。