塔のある風景
【お知らせ】
山寺のHP更新致しました。
宜しければ御笑覧下さいませ
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本日は穏やかな晴天。
晴天といっても曇り空に時々日差しが見えるくらいだが、雨天の多いこの地域では恵まれた一日である。
4時過ぎに境内の向かい側にある公園に行った。
日中はもみじ狩の車が多いが、4時過ぎにはお互いに写真を撮っている若い男女が一組だけで、じきに私一人になった。
足元でコオロギが鳴いていた。
秋の盛りというよりは晩秋に近づき、コオロギもどこか寂しげで頼りなげに鳴いているように感じた。庫裏の周りではもうコオロギの鳴く声は聞こえないのだが、この公園ではまだコオロギの声を聞くことが出来るのである。
寂しいような、それでいて楽しいような気持になった。
境内の写真を撮ろうとして見渡すと、紅葉といっても鮮やかな赤もあればオレンジに近い赤、茶色、紫がかった赤といろんな色があることに改めて気がついた。夕方になるとさらに全体が暗色になり、何か凄みのようなものも感じる。
公園から見ると三重塔は様々な色の紅葉の中に浮いているようにも見える。
写真でみると何故か三重塔はやや後ろに傾いて見える。眼の錯覚に違いないのでが、そのため塔が紅葉の中に溺れているように感じることすらある。
三重塔だけは四季を通じて色を変えることは無い。
仏教では飾ることは荘厳(しょうごん)と表現することがあるが、自然の荘厳に比べればやはり人間の作ったものはどんなに飾り立てても自然に追いつくことは出来ないのかもしれない。