On Your Mark
今朝は私の暮らす庫裏のまわりにもうっすらと冠雪していた。
紅葉したもみじの上にうっすらと雪に積もった姿は趣きがあるものである。
趣きがあるのはいいのだが、とにかく寒いので上下ともフリース系の服を着てその上から作務衣を羽織っている。
兼務している山寺は私の居るお寺よりさらに高地にある。
現在は妹夫婦が仮住まいしているが、妹によれば朝起きたら車の上に20cmくらい雪が積もっていたそうである…
宮崎駿氏はとても好きな作家である。
アニメに限らず、小説でも漫画でも演劇でも、同じ作家の作品には共通するモチーフが繰り返し表れることがあるが、宮崎氏の作品を見ていると<空を飛ぶこと>が繰り返し描かれる。
宮崎氏にとって<空を飛ぶこと>というのは囚われた世界からの解放であったり、日常からの飛躍であったり、またある種の<聖性>のようなものの表現でもあるように感じる。
とりわけ「風の谷のナウシカ」や「魔女も宅急便」に代表されるように<空を飛ぶ少女>というのは決定的に常用な意味を持つのだと思われる。
「On Your Mark」は宮崎氏がCHAGE&ASUKAのために作った実験的な短編作品である。
作品の舞台は地球が放射能で汚染され、人間が地下世界で暮らす未来の物語である。
主人公はカルト教団から救出された羽の生えた少女と2人の警官(CHAGE&ASUKA)である。
7分に満たない短い作品で、普通の作品と違って、物語の時間がバラバラに構成されていたり、複数のストリーが平行するかのように展開していく。
何年か前にレンタルで借りて、理由はわからないがとても惹かれて、繰り返し観た。
最近はYoutubeにアップされていたのを見つけて何度も見返していたら気付いたことがある。
この作品には4つの行程がある。
<カルト教団から少女を救出する>
→<助け出された少女を収容されていた施設から取り戻す>
→<少女を連れて人間の暮らす地下世界から地上世界へ脱出する>
→<少女を空へ解放する>
この4つの行程は全てが開放であり、脱出なのである。
自分が無意識のうちに引かれたことの理由を後から理解することがある。
自分の中にも開放されたい、脱出したいという思いがあるのかもしれない。
【On Your Mark】http://jp.youtube.com/watch?v=bQuUCSyPMW0