小三治のマクラ

          
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           山寺のHP更新致しました。
            宜しければ御笑覧下さいませ
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 11月の忙しさを過ぎてようやく日常生活が元に戻りつつある。

 
 今日は久しぶりにコンポストに貯めた堆肥を攪拌した。

 驚いたことに掌に乗るような大きな甲虫の幼虫がごろごろ出てきた。
 密閉してあったのにいつ卵が入ったか謎である。その数は30匹以上。
 最近はカブトムシを見かけないのでクワガタの幼虫だろう。
 丸々太った幼虫の糞は多分堆肥を望ましい状態にしてくれるように思えたので、幼虫を殺さないように丁寧に攪拌した。

 
 昨日、K商会という地元の農機具店のトラックがやってきた。
 なんとなく嫌な予感が…予感は的中。住職がまた大きな買い物をしたのだ。
 背中にエンジンを背負い、ノズルからの風を送って落ち葉などを吹き飛ばすブロワーという装置である。恐々請求書を見ると65000円也…高いよ!

 但し、この機械は私も実は欲しいと思っていたのでちょっと微妙である。
 落ち葉を箒や熊手で掃くとかならず砂利が混じる。砂利の混じった落ち葉を捨てた場所からは植えたはずの草花が生えないことが多いのである。砂利を入れずに落ち葉だけを掃くのは至難である。
 また苔の上に積もった落ち葉を取ろうとするとやはり苔を傷つけてしまう。
 そう考えるとこの機械は果たして高いのか、安いのか…もっとも痩せて小柄な住職が得意げにこの装置を背負って作業している姿はかなり笑えるのでは…と少し期待している。

 先月、紅葉狩りに来て下さった知り合いが柳家小三治のCDを貸して下さった。(「船徳」「お茶汲み」)
 なかなか聞く機会がなくて、ようやく今日聞くことができた。
 やっぱり落語はいい…

 小三治師匠はマクラの名手であると言われる。マクラだけを集めた本「ま・く・ら」(講談社)が刊行されているほどである。

 「お茶汲み」というCDになかなか良いマクラが入っていた。

 小三治師匠がまだ若かった頃、東北地方の公演に出かけた。
 落語の公演の前に三味線の演奏をすることになった。身なりの貧しい津軽三味線の奏者が現れて、公演の前に舞台で試演を始めると、楽屋に聞こえるそのみすぼらしい弾き手の演奏が超絶的な素晴らしさだったという。その三味線弾きは後に稀代の名手とされる高橋竹山だったのだ。 
 ところが公演が始まり、マイクを通して流れてくる竹山の演奏からは楽屋で聞いた、生の演奏の持つ素晴らしさは消えうせて、その感動的な旋律はどこにもなかったという。

 なかなか素敵な話である。
 生では感じられる<良さ>がマイクを始めとする音響設備を通ると無くなってしまうというの興味深い。一体その<良さ>とは何なのだろうか…小三治師匠の語りからは東北の寒々とした空気までが伝わってくるようであった。

 小三治師匠のマクラはやはり絶品である。