time-lapse <極美>と<腐敗>
【YouTube漂流記】
昨晩は雪が舞っていたが、幸い朝起きても雪は積もっていなかった。
午前中は法事が一件。
山陰のお墓へお参りに行くと、所々に白い霜が残っていた。
風が強く、冬そのものの寒さである。
午後は兼務している山寺で納めの法要があった。
本堂に20人ほどの檀家さんが集まり和やかな雰囲気のうちに無事終了。
法要の後は庫裏でお弁当を頂いた。
総代の奥さんがお吸い物を作って下さったが、冷え切った身体に舌の焼けるほど熱い御吸い物が格別に美味しかった。
相変わらずYouTubeを時々観る。
お勧めの映像の中に“time-lapse”という単語の含まれたものがあった。
“time-lapse”というのは長時間間隔を置いて撮影したコマをつなげて映写する技術である。
私が好きな空の映像があった。
空が色彩を変え、雲が形を変えて動いていく姿はまるで夢をみるような美しさである。
【Time Lapse Sunrise -台風一過の夜明け-】http://jp.youtube.com/watch?v=sdkIwaF2ujs
異色なものには動物の屍骸を撮影したものがある。
横たえられた屍骸に虫がたかり、腐乱し、形を変えていくのである。(一応URLを貼りますが心臓の弱い方にはお勧めしません)
【Rabbit decomposition (time-lapse video)】http://jp.youtube.com/watch?v=jrSHku6-LFo
山寺の近辺ではごく稀にそういった光景に出会うが、動物の屍骸はすぐに他の動物の餌となり数日で無くなってしまう。
私はある仏教美術の展覧会で見た絵図を思い出した。恐らく九相図とよばれる絵図の一幅であったと思う。※1
横たえられた美女の遺体が腐敗し、醜く形を変え、最後に白骨になるという図でである。仏教の不浄観によるものとも、修行者が女性への煩悩を断ち切るためのものとも言われる。
ある種の無常観の表現とっていいだろう。
普通の感覚からすれば、美しい女性が死体となり、その死体が崩れていく姿はおぞましいものでしかないが、私には何かある種の真実を示してくれているようにも感じられる。
お釈迦さまの有名な故事に四門出遊※2がある。
老人、病人、死者をご覧になり、最後に出家を見たお釈迦様が、世の無常と、出家の必要を悟られるというものである。
時間の推移の中で、自然も肉体も形を変えていく。
人智を超えた芸術が現れることもあれば、おぞましくも何かの真実を告げてくれることもある。
自然も、肉体も一瞬の存在でしかないがその一瞬の姿に激しい執着を燃やすのが私達の生き方である。
屍骸を映す冷徹なカメラの眼の中に不浄観は宿るのだろうか。
それとも奇異なものへの悪趣味な嗜好でしかないのか…
※1http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%B7%E5%AD%90%E8%BE%BB
※2http://www.tamano.or.jp/usr/kyushoji/simon.htm