襖絵とかりんとう
あすもまた 山路なれば湯村なる
湯にいざいりて 一休みせむ 西行法師
私も妻を伴って参加したが濃霧のため列車が大幅に遅れるというアクシデントがあり波乱のスタート。
なぜか私に1時間の発表が課せられ、お寺の諸問題について四苦八苦してお話した。お寺とIT化、境内の整備、アライグマ問題、防犯などなど…
そのまま旅館に投宿して、本日は香住の近辺を見学してから帰途についた。
香住といえばカニである。至るところにカニの看板が眼につく。
妻いわく
「脚が太くて喜ばれるのはカニだけ。私もカニになりたいよ…」
途中で香住町にある大乗寺というお寺を拝観した。
門構えも堂々たる真言宗の古刹である。
大乗寺は別名を応挙寺として知られる。165面に渡る円山派の襖絵が存在するのである。特別に御住職自ら懇切丁寧な解説をして頂いた。
私は日本画に関する知識は皆無に等しいのだが、単なる絵画超えて空間芸術の域に達した円山派の画力を一大結集した観のあるお寺である。
墨の濃淡と余白を利用して静止した画面から三次元的な動きが現れ、単色の世界からあらゆる色や形、触感を伝えていく技法はスゴイと言うほかない。
襖絵が蛍光灯ではなく和ロウソクの明かりに照らされると描かれた波が揺らぎ、松の梢が風そよぐように見えるという…
しかもこうした立体芸術としての絵画が御本尊を中心とした密教的な観想の世界とリンクしているというのである。ここから先は大変興味深いのだが、長くなるので関心のある方は是非、大乗寺のHPでバーチャルな襖絵体験をして頂きたい。
【大乗寺 HP】http://www.daijyoji.or.jp/main/index.html
【大乗寺 円山派デジタルミュージアム】http://museum.daijyoji.or.jp/
来年の4月に収蔵庫が完成すると実物ではなくレプリカが展示されるので、実物を往時のまま拝観できるのは残り僅かな期間しかないとのこと。私達はとても良いタイミングで拝観できたことになる。
このお寺に応挙が絵を残したのは、貧しかった若き日の応挙をこのお寺の住職が援助したことが機縁であるという。情けは人の為ならず…応挙が画家として成功を納めた後、住職への恩義に報いたというのは素敵なお話だと思う。
ついでながら大乗寺の門前に円山菓寮という小さな和菓子やさんがある。
ここのお店は20種類以上もお菓子を試食させてくれる楽しいお店である。男性にも大好評であった。ここのお菓子はかりんとうを中心にバリエーションが豊富でお土産にはうってつけである。大乗寺に行かれたら是非立ち寄ってみて頂きたい。