笑う門には…
大晦日である。
朝から天候が不順である。
曇り→雨→霙(みぞれ)→雪→曇り→ちょっとだけ晴れ→曇り→雨→霙(みぞれ)…
こうした天候の変化が延々と続く。
午前中に庫裏の玄関の掃除をして宗派の紋の付いた紫の幕を玄関に張り、以上で今年の大掃除を強制終了にした。
今年もいろんなことがあったが、世相は未曾有の大不況とやらで大騒ぎである。
夕飯の時に住職が「昭和6、7年の頃の不況の頃は仕事どころか食べ物すらなかった。今よりずっと大変だった」と昔話を少々。当時も深刻な不況で祖父は満州に渡ることも考えていたそうである。尤も、同じ地域から満州に渡った人達は一人も生きて帰ってこれなかったというから、もし祖父が家族を連れて満州に渡っていたら我が家は絶えていたかもしれない…
ラジオから紅白が流れ始めると(山寺にはテレビが無いのである)最初に歌ったのは浜崎あゆみである。最近の紅白は新人には新しい歌を、ベテランには懐かしい歌を歌わせ、何とか幅広く視聴者を引き付けたいようだが、住職は浜崎あゆみに全く付いていけずラジオを消してカセットテープを聴き始めた。何を聞くのかと思ったら「水子地蔵和賛」…暗いよおぉぉぉ…
さて来年も是非良い歳にしたいものである。
笑う門には福来るというが、良いことがあるから笑うのではなく、笑える心を持った人の所に福は来るのだと私は思っている。
言い換えれば、不平不満少なく。感謝できるひとでなければ幸運の女神はやって来ないのである。
感謝する…最近この一事がいかに奥が深く、道のりの長いものであるかということをひしひしと感じる。
とりあえずは身の回りのこと、眼の前のことに感謝である。
というわけでこの一年間、この拙文にお付き合いいただいた皆様に感謝を捧げ、皆様の来年の御多幸をお祈りしたい。これから本堂で大晦日の勤行をするが、拙文を読んでくださっている皆様の御健勝も祈願したい。
どうぞ皆様良いお歳を!
丹州の山寺にて
ぶろぐ坊 合掌 九拝