水子が成長する?

しばらく前に、ある女性から相談を受けた。その方は水子供養をされている方だったのだが、ある人物に「あなたの水子が成長しています」といわれたそうである。
そのことがとても気になって不安だというのが相談の趣旨だったのだが、亡くなった水子さんがその後もどんどん成長するというような話はあまりに荒唐無稽に思えたので、水子が成長するなどということはありませんよと笑いながら断言したら、安心されたようだった。

水子といっても背景の事情は様々である。
私が見て無責任としか言いようの無いケースもあれば、病気や事故などで望んでいた子供を失う場合もある。

ただ世の中には水子供養というのを商売にしている輩も居て、やたらと不安を煽るようなことを言う者もある。

 人間の心というのは弱いもので、人生の困難に遭遇して気持ちが揺らいだ時に「あなたの水子がまだ成仏してません。特別な供養が必要です」などと言われるとついつい言いなりになってしまったりする。残念なことだなといつも思う。

 水子さんに対しては冷淡であってはいけないと思うが、そのことを一生重荷のように背負う必要はないのではないかと思う。ある時期きちんと供養したら、その後は折にふれ手を合せ、あの世での成仏を祈念すれば十分ではないかと思う。

 供養というとお経を唱えてもらうことが一般的だが、この世に残された縁ある方たちが前向きで心明るく、心き正しく生きていくこともとても大切な供養なのではないかと思う。

 水子さんの立場にすれば、自分の為に残された者が重い荷物を背負って一生を過ごすことなど望むはずが無い。水子さんを契機として人生における信仰や供養の大切さを悟る機縁になれば、何よりの供養になるのではないかと思う。
 正しい水子の供養というものがもっと世の中に広まって欲しいものである。