ご本尊様の数奇な由来

舞鶴ご近所日記】

本日は節分である。
普通の人なら節分というと豆まきくらいしか思い浮かばないかもしれない。

本来、節分とは春夏秋冬という四季の分かれ目なのだという。
従って節分は一年に4つあるのである。とりわけ冬から春にかけての節分は正月と同じように年の改まりであり特別な意味を持つ。

 山寺では節分に本尊を御開帳し、参詣者の所願成就と天下泰平を祈る。

 人々にそれぞれの願いがあるが、まず本人の努力があり、その上に先祖の力、神仏の力が加わることで願いというのは成就するのではないかと思う。(本当はもう少し別の要素もあるのだがこれは書き出すときキリがないので次回に譲ることにする)

 そして節分というのは一年が改まる特別な時期であり、節分の持つ<時機の力>というべきものが加わることで、私達の願いが成就する力がより大きくなるのではないかと思っている。
 …という話を節分の前に本堂でお話しようと思っていたら、別件で頭が一杯になりすっかり忘れていた(笑)この話は来年することにした。



 さて別件というのはご本尊にまつわる興味ある出会いがあったのである。

 当山のご本尊である波切不動明王様は若狭のお寺から勧請(「かんじょう」仏像を移すこと)されたと言い伝えられている。
 そのお寺は一乗寺といい、西国観音霊場で名高い松尾寺、国宝の山門を有する綾部の光明寺と並んで三山と称されていたというほどの名刹だったという。

 その名刹も現在は僅かな痕跡と言い伝えに名残をとどめるだけで、山中の廃寺となってしまっている。当山のご本尊様にまつわる非常に数奇な歴史というものを感じずにはいられない。

 一乗寺があったのは福井県おおい郡川上という場所である。
 本日は節分祈願祭の先立ってこの地区の有志の方々のご訪問を受けた、ご本尊にご縁ある方々とお知り合いになれて嬉しく思った。この地区の方とは今後とも交流したいと思っている。
 地域の世話役の方がブログを書いておられて、廃寺になった一乗寺跡の探索記などもあり興味深い。

 【川上日記】http://kawakami-ku.mitelog.jp/blog/

 お寺というのは長い歴史があり、そのなかに様々なドラマがある。
 その一端に当事者として自分がいるということを時々不思議に感じることがある。