笑いと科学


 暖かくなったと油断していたら突然の雪である。今晩は10センチは積もるにちがいない。
 冬枯れの田んぼや畑に少し青い草の色が見え始めたと思ったら、白い雪景色に後戻りである。

 今日、NHKのラジオに遺伝科学者の村上和雄さんが出演しておられた。

 村上先生は吉本興業の協力を得て次のような実験をされたそうである。
 糖尿病の患者に食事をさせて大学の先生の講義を40分聞いてもらう。
 翌日同じ患者さん達に食後、今度は落語を40分聞いてもらう。すると大学の先生の講義を聞いた後より落語を聞いた後のほうが明らかに血糖値の上昇が抑えられたというのだ。

 笑いを副作用の無い薬として役立てたいというのが村上先生の希望だそうである。

 笑いが健康に良いというのは半ば常識だが、世界的に業績を上げている遺伝子科学の専門家がそうした発想をするというのは斬新に感じる。

 遺伝子を読み解くと、働きが分かっているのは数%しかなく残りの大部分の遺伝子の働きは未知なのだそうである。なんとなくワクワクする話である。

 村上先生は生活習慣や心の持ち方が遺伝子のスイッチをオンにしたりオフにしたりすると考えておられるそうである。

 笑いは健康に役立つ遺伝子のスイッチをオンにすることはようやく分かってきたが、村上先生が健康に役立つスイッチをオンにする条件として指摘されている中には、感動する心、感謝する心、祈りなどがある。


 これらは宗教が扱ってきたテーマとおおいに重なるものがある。
村上先生の研究がこれからどんな成果を挙げるか大いに注目したい。

 お医者さんが薬のかわりに漫才や落語のビデオを処方するような時代が来たら面白いと思うのだが。