危険な戒名

宗派によっては月参りといって毎月、檀家さんの家で読経する場合がある。

お寺によっては毎月百軒から数百件の檀家さんの家をお参りすることがある。これはなかなか大変である。月参りの無い宗派であることに感謝するしかない。

ウチのお寺ではただ一軒だけ篤志の檀家さんからの依頼で毎月そのお宅に月参りに出かける。

月参りの途中でそのお宅の過去帳を供養するのだが、古い戒名の中には当時のお坊さんが使っていた漢字で、全く読めないものがあったりして最初はドキドキした。字典にも載っていないような特殊な文字が使われることがあるのである。

それから困るのは読みが複数ある漢字である。
例えば「解」という字は「カイ」と読むのか「ゲ」と読むのか迷ったりする。これは戒名をつけた本人にしか分からない。

葬儀というのは戒名を授けるというのが大切な行為なので戒名の読み方は喪主の方にもきちんと伝える必要があると思う。最近は戒名を書いた紙を渡す時、横にふりがなを振るようにした。

戒名というのは永代残るものなのでお坊さんはいろいろ頭を悩ませて付けることが多い。

当然、お坊さん向けに戒名の付けたかについて書かれた本も沢山ある。

この種の本を読むと必ず「戒名に使ってはいけない熟語の例」というのが載っていて面白い。

「阿法」(→「アホ」と読めるから?)
「月桂」(→お酒の名前みたいだからか?)
「珍宝」(→…)

戒名の付け方などという本を書けるのはお坊さんの中でも相当学識があり、有名な方ばかりである。そんな偉いお坊さん方の書いた本にこんな楽しいことが書いてあるので、そのギャップがたまらなかったりする…