<桜井章一×甲野善紀> 驚異の対談集

賢い身体 バカな身体
 日本の映画が2つのオスカーを受賞した。とても嬉しい出来事である。

つみきのいえ」の加藤久仁生(くにお)監督の受賞スピーチに「thank you my pencile,thank you animation…」という一節が聞き取れて少し感動した。

「ありがとう私の鉛筆、ありがとうアニメ」とはなんとシンプルで、感謝に満ちていて、素敵な言葉ではないだろうか。

おくりびと」の受賞も本当に嬉しい。
次回は是非お坊さんを主人公にして「おくりびと2」を製作して欲しいところである。(そういえば本木氏は周防監督の「ファンシイダンス」でも修行僧役をやっていた)
お坊さんはやはり<おくりびと>ではないだろうかと思うのだ。


先日読んだ「大使閣下の料理人」の続きが読みたくなりブックオフオンラインにて100円の巻を5冊購入。1巻を読むとまだ絵柄が安定していなくて、7巻くらいから登場人物に時々とてもいい表情が出てくるのが分かる。
他にも漫画では永井豪マジン・サーガ5」とMEIMU機動戦士ガンダムMS IGLOO〜1年戦争秘話」(角川書店)を購入。


急に甲野善紀氏の本が読みたくなり田中聡「不安定だから強い 武術家・甲野善紀の世界」(晶文社)と対談集「賢い身体バカな身体」(講談社)を合わせて購入。9冊合わせて2000円ジャスト。ブックオフオンラインはこれだからやめられない。



出色は「賢い身体バカな身体」(講談社)である。

麻雀界で20年不敗の伝説を持つ桜井章一氏と古武術を中心に身体と意識の気鋭の研究家甲野善紀氏。両氏は長い間の交友があり、お互いがお互いを尊敬する間柄である。両氏初の対談集が面白くないわけがない。

「賢い身体バカな身体」というタイトルに引っかかって手に取ることもない本だったが、ネットでの注文だったの勢いで購入。これが思わぬビンゴォォォである。

両氏の説いておられる世界というのは西欧的な二元的対立を超えた世界だと思っている。

<A⇔B>ではないのである。もっと微妙で、もっと複雑な世界である。その対談集がなぜこのタイトルなのか。講談社よ、余りにセンスがなさ過ぎるのではないかね。
せめて「感じる身体」とでもしてくれたらもっと早く手にとっていたのだが…


昨日、いつものようにパラ読みしようとしてあっという間に2章まで読み。もったいないので残りは今晩読むつもり。


本書から桜井章一氏の有名なエピソードをひとつ。

桜井氏がプロの代打ちの仕事を引退して何年間かは麻雀の牌に触ろうとすると牌に拒絶される感覚が生じて、指に激痛が走ったという。甲野氏も書かれているが碁、将棋、野球、ゴルフなどを引退した後、自分の道具に触れたら痛みと共に道具に拒絶されたという話は聞いたことがない。麻雀の牌、或いは麻雀そのものと深く一体化していないと生まれない感覚だと思う。

本書はみやわき心太郎氏の「マル秘 牌の音」シリーズとも重なる部分が多いが、しばらくこの本の世界にハマりそうである。本書を読んでいるとDVDで観た桜井氏の流れるような手つきが眼に浮ぶ。