歴然としている!〜一ノ関圭の世界

らんぷの下 (小学館叢書―一ノ関圭作品集)

らんぷの下 (小学館叢書―一ノ関圭作品集)

茶箱広重 (小学館叢書―一ノ関圭作品集)

茶箱広重 (小学館叢書―一ノ関圭作品集)

 少し前、近くの中古書店KUNI太郎で2冊の漫画を買った。
 作者は一ノ関圭氏。絵柄がなんとなく気になったのだ。

 読み始めて何度も「うーん」と唸る…

 ここ数年全く小説を読んでいない。なぜか全く読む気がしないのだ。それがこの作品は漫画というより昭和の文豪の短編を読むような感覚なのである。 読まないはずの小説を読んでしまっている…そういう不思議な読後感なのである。


 wikipediaの短い記事が実に要を得ている。

 一ノ関 圭(いちのせき けい、1950年 - )は、日本の漫画家。秋田県大館市出身。女性。東京藝術大学油絵科卒。在学中に投稿した「らんぷの下」が第14回ビッグコミック賞を受賞(夢屋日の市名義)。
 江戸・明治を舞台にした骨太な作風で知られ、圧倒的な描写力、計算された構成、ストーリーの完成度、どれをとっても作者の才能を感じさせられる作品ばかりである。

 それにしても作者の描く女性には圧倒的な存在感があるのである。
 なんなのだろうかこの存在感は…正直言ってよく分からない。

名取弘文さんという小学校の先生が「らんぷの下」の後書きを書いておられる。この一ノ関圭という漫画家の存在感を指して「歴然としている!」と嘆じておられたが、収められた作品の存在感は正しく歴然としているのである。