夏の色仄(ほの)かに白し

 時々、セミの声を聴くようになった。夏はすぐそこまで来ている。


 境内に銀杯草が少し生えていて増やそうかと思っている。
 銀杯草は10センチほどの草丈だが丈夫で次々と白い花を咲かせる。

 時々、境内に白い色を観るとなぜかほっとする。

   ピラカンサの小さな花の白。
   山際に植えられたテッセンの白。
   池のほとりに生みつけられたモリアオガエルの卵の白。
   新緑のもみじの葉先のうっすらと紅に染まった白。
   雨あがりに地面から立ち上る水蒸気の白。
   遠くの山を覆う淡い靄(もや)の白。


 
 暑くなる時期に白い色は清々しく、涼しげで心地良い。



 

Newton (ニュートン) 2009年 07月号 [雑誌]

Newton (ニュートン) 2009年 07月号 [雑誌]

 

 暫く前に「Newtonn」という雑誌を買ったら、
   白色の光は、無数の色の光が集まったもの

 と書かれていた。この言葉がなぜかとても深遠なように感じた。太陽光などの白色の光をプリズムに通すと、無数の色の光でできた帯(いわゆる「虹」)が生まれるが、これは白色光が無数の色の光の集合体であることを現しているのだそうである。学生の頃、理科の授業で習ったはずだが、この歳になると以前から知っていたことがまた別の姿で見えることがあって面白い。


 今日は茶道を習っている母が朋輩の方と庫裏で茶道の講習会をしている。
 普段、やたらと薄いお茶やぬるいお茶を入れて家族から顰蹙を買っている母が真面目腐ってお茶を立てているかと思うと少し可笑しい。

 私はお下がりのお菓子を頂く係りである…
 後片付けの為に座敷に入ると花瓶に一輪だけ生けられたテッセンが綺麗だった。