花梨の功徳

民間療法や民間薬というのは興味深い分野だが、どこまで効くか信憑性が無いものもある。
以前、地方で伝承されている民間薬の本を読んでいたら

「この病気にはサルの脳味噌が効く」

という記述があった。何の病気に効くのか忘れたが入手するのも大変なら、口に入れるのもなかなか勇気がいる…


ここ数年、咳が一ヶ月くらい続くことがある。

最近も少し前に熱が出たと思ったら、咳が続くようになった。
念のため病院で診察を受けたが異常なしとの診断なのでそのままにしておいたのだが、母親が「花梨を焼酎漬けにしたものは咳止めに効く」と言い出した。

庫裏の前に花梨の樹があって毎年、花梨の実が採れる。百日紅のような木肌も味わいがあるので好きな花木である。山寺で採れる花梨は虫喰いが多くてあまり見栄え良いものではない。花梨は生で食べられないが、昔から咳止めに効くといわれているのは知っていた。


作ってから5年以上経つ花梨の焼酎漬けを母が倉庫から出してきた。
恐る恐るお湯で割って飲んでみると、甘みがあって、香りが良くて意外に美味しい。そして咳が和らぐ感覚まである…

というわけでここ数日は寝る前に花梨の焼酎漬けを飲んでいる。
5年以上寝かしたものなのでかなりまったりとした味である。残り少なくなったので、今年は自分でも作ってみようかと思っている。

最近も薬湯の本を読んでいたら

<花梨を輪切りにして浴槽に浮かべると良い>

と書いてあった。
花梨はとても香りが良いので花梨を浮かべたお風呂というのはかなり贅沢な気がする。
そして花梨の利用法としてジャムにするというのも書いてあった。
花梨は生では食べられないが、確かにジャムにするというのはいいアイディアである。こちらも香りが良くて食欲をそそりそうである。


 花梨の収穫は11月頃である。今から楽しみにしている。