ダンボの耳
昨日から泊りがけで京都市内へ出かけた。
用事を済ませて帰る前にふとカレーが食べたくなった。田舎で暮らしているとナンやサフランライスのついた本格的なカレーを食べる機会がなかなか無いからである。
河原町界隈でインドカレーのお店を見つけたので野菜カレーのセットを注文した。待つこと暫しで美味しそうな野菜カレー、ナン、サフランライス、ヨーグルトなどが運ばれてきた。食べ始めたその時である…
すぐ横の席に座って仲良く喋っていた若い女性二人が突然、水虫の話をし始めたのである…
水虫の症状、水虫菌の種類、水虫の治療法、水虫にかかった足のニオイ…
せっかく楽しみにしていたカレーだったが、カレーの味が半減した気がした。ウンコの話をされなかっただけマシかもしれないが…
「耳をダンボにする」というのは聞き耳を立てることを言うが聞きたくないことが聞こえてくるのはどう表現したらいいのだろうか…とふと疑問が湧いた。
聞き耳についてはもうひとつの話がある。
数日前に妻とキッチンで話しをしていた。
妊娠中の妻が実家に帰省して出産するので、その日取りを相談したのである。
その時である。私はある気配を感じて驚いた。何に驚いたかというとお腹の中の赤ん坊が一生懸命に私達の会話に真剣に耳を傾けているという気配を感じたのである。
お腹の赤ん坊が私達の会話に反応するのは何度も経験したが、<聞き耳を立てる気配>というのを感じたの始めてだったのでちょっとびっくりした。
未婚の若い女性にこの話をしたらドン引きされた(笑)
「そんなこと在るわけないでしょ」という感想がありありと顔色に浮かんだ。
私はある種のバカ親か半分危ないヒトに見られたようだった…
子供を授かった同年代の夫婦が周りにいないのだが、そうした経験があるのかないのか、それとも私の錯覚なのか。一度訊ねてみたいと思っている。
お腹の赤ん坊には好むと好まざるとに関わらず外界の物音や人の声が届いているはずである。
嫌な思いをしないように私達夫婦で楽しい話や幸せな話を一杯聞かせてあげたいと思っている。