『半農半X』のススメ
【京都新聞観察日記】
山寺のある舞鶴から綾部まで車で30分ほどである。
綾部で『半農半X』という新しいコンセプトを提唱しておられる塩見直紀さんという方がおられる。
【塩見直紀氏のブログ】http://plaza.rakuten.co.jp/simpleandmission/
自給自足的な<農>と自分の天職とする<何か=X>を両立させていこうというのが塩見氏の考えである。
山間の綾部だからこそ<半農>であって、地域によっては林業でも漁業でも同じことがいえるだろう。
私自身もいわゆるお坊さんの仕事に加えて、農業、林業、花木の栽培といったことを同時に行っている。その内容は微々たるものだが、自分の本職とこれらを両立させることで何かを感じることがある。
その意味でこの『半農半X』というのはとても魅力的で、普遍的な意味を持つモデルではないかと思う。
25日の京都新聞の特集<大転換 働き方が変わる 第6部>では塩見氏の『半農半X』が取り上げられていた。
綾部には翻訳家、技術者、自然食研究家らが集まりつつあり、空き家の情報を求めて市に登録している人は400人にのぼるという。そして既に綾部に定住した方のうち50人あまりは芸術家であるという。
ミレーなどの芸術家が田園風景を書いたフランスの村になぞらえて、「綾部を日本のバルビゾンに」したいという声もある。
地方おこしといったことが盛んに言われるが、この『半農半X』という生き方には表面的な地方の活性化策にない、深みを感じる。それだけにこの『半農半X』という生き方に共鳴、賛同する人達がどれだけ自分の求めるものを追及できるかがこの運動の成否にかかっているともいえよう。
「日本のバルビゾン」という言葉にはとても美しい響きがある。地元の田園を見るたびにこの言葉を反芻している。