雨の夜のつれづれに



 夕方から雨が降る。
 今年の梅雨は雨が少なく、本格的に雨が降るのは2回目である。

 雨は土砂降りだと地表を流れるだけなので、強すぎない雨が降り続くとしっかりと地面を潤してくれる。

 雨が降ると途端に草が伸び始める。最近は週に2回は一日草刈である。
 ここ一月ほどの間に家族が草刈の時に鹿の角を何本か拾った。鹿の角は生え変わるものだが、角の無い鹿を想像するとちょっと可愛い。私も一度拾ってみたいものだ。


 昨日の夜、布団に入ろうとしたらコオロギが一匹部屋の中に迷い込んでいた。
 コオロギを見たのは一年ぶりくらいである。まだ夏も迎えていないのに、秋に鳴く虫は見えないところでひっそりと生きている。


 お寺の畑を見回りに行った妹が「モグラが畑を荒らしている」と報告してくれた。
 モグラは土中を掘り進んで、作物の根を傷めてしまうのである。最近は法務や草刈が忙しくて畑仕事をする閑がない。


 最近、檀家さんからよくトマトを貰う。夕食には毎回、よく熟れたトマトが出されるがなんとも言えず美味しいものである。数日前は久しぶりにトマトでガスパチョを作った。外で作務をした後の冷たいガスパチョは身体に染みとおるように感じる。


 お坊さんに逢うと「もうじきお盆の準備ですね」という挨拶が定番である。
 近年の猛暑は半端でないのでその中の棚行は苦行に近いものがある。今から少しブルーな気分である…


 雨の中を蛙がさかんに鳴いている。
 その声がとても心地よく聞こえる。高く、低く、近く、遠く聞こえる蛙の声を聞きながら少しだけ瞑想して床に就くとしよう。