本日は漫画日和、漫画の大海に海獣現る
漫画が好きである。
といっても古今の名作、傑作を片っ端から読破しているといった漫画好きではない。
気の向くままに漫画を読んで、時々、未知の優れた作品に出会うのがとても楽しいことだと思っているだけである。
昨日も中古書店で何冊か漫画を購入した。
- 作者: 五十嵐大介
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2007/07/30
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<生物は海で生まれたが、私達の中には海に関する生命の様々な記憶が眠っているのではないか>
このことは以前から時々、考えていたのだが、この人の絵の持っている力に引き寄せられ、触発されたというのが正解かもしれない。読んでいるうちに自分の思考が深いところで揺さぶられる…こんなことは初めてである。
読み始めたのは夜も更けていて、少し疲れていた。
こんな面白そうな漫画をこんなコンディションで読んではもったいない。
ふとそんなことを考えて、昨晩は読まないで寝ることにした
本日はうす曇で時々、雨が降る。
連日、猛暑といっていい暑さだった。雨が降って湿度が上がると思ったら、空気はさらさらしていて、不思議な透明感がある(一度、台風の前日にもそんなことがあった)気持ちがクリアになっていくのが感じられた。外で作業したりしたくない、ただ、この気持ちの良い空気に浸っていたいと思った。
今日は漫画日和(マンガびより)です。良い漫画を読むのに最も相応しい日です
と何かが告げているように感じた(笑)
午前中のお参りを終えてから「怪獣の子供」を読み始めたのだが、あっという間に1巻を読み終えてしまった。夕食を終えてから2巻と3巻を中古書店に買いに行く。
- 作者: 五十嵐大介
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- 作者: 五十嵐大介
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登場人物の何気ない言葉、何気ない仕草、何気ない風景が何故か心に響くのである。理由は良くわからないのだが。
内容は壮大なスケールだが、ミステリーでも、SFでもない。もっと別の何かである。
主人公は特異な出生の秘密を持つ二人の少年と少女である。謎の多い二人の海洋学者。世界中で多発する海と魚にまつわる怪奇な現象…
少年や少女が出会う大きな疑問に「自分とは何か」という問いがある。私達は思春期にこの問いにぶつかる。その思春期を描きながら、そこに「人間とは何か」という巨大なテーマが同じベクトルで重なっているのである。
そして私達が持っている根源的な海の記憶への記憶が手繰り寄せられ、分解され、再構築されていく。そして全く新しい世界観が築かれていく。
海というのは人間にとって何か根源的なものを含んでいると感じる。
「海獣の子供」を読みながら、子供の頃から読んだことのある海洋文学がいろいろと思い出された。「十五少年漂流記」「宝島」「白鯨」「海底2万マイル」「老人と海」…良くわからないのだが、この「海獣と少年」を読んでいると常にいろんな記憶が呼び覚まされる。頭の深いところをかき混ぜられているのだろうか…
作者はストーリーというよりは、絵のもっている力を通じて心の深いところに働きかけようとしているのではないかという気がする。
こんな体験は全く初めてである。読み終えて未だに心がさわさわしている。心が波立っているというべきか。