男爵犬バロンの独り言

【トモとバロンの部屋・番外編】

 我輩の名前はバロン。
 
 犬種はウエルシュ・コーギー・ペンブロークである。
 わが一族はエリザベス女王をはじめ英国王室からも寵愛を受ける由緒正しい血統である。
 …こんな田舎の貧乏寺で飼われる筋合いはないのである。

 バロンとは男爵である。我輩は爵位を持った男爵犬なのである。


 やっぱりふかして、バターをつけただけがシンプルイズザベストな食べ方
 …ってそれは「男爵イモ」っ!

 人間と交わると詰まらぬノリツッコミなど覚えてしまう自分が悲しい…

 
 この家には老夫婦と若夫婦が住んでいる。
 老夫婦は寄る年波で野菜と魚しか食べない。若い夫婦もフイッシュベジタリアンとかでやっぱり魚と野菜しか食べない。従って…

 この家の残飯にはたんぱく質が極めて少ないのである。

 時々スーパーの肉売り場に行くとタダで貰える牛脂が餌に入っていたりする。

 小細工を弄するな、肉を買ってこい、肉を!

 
 最近、この家の若い嫁が私の写真をとってホームページにアップしているというではないか。
 そんなことをするならせめてドッグフードの一掴みでも余分にくれてもよさそうなのにそんな配慮もない。全く怪しからん!

 

 我々は人間に飼われることで生活の安定を得ている。安逸に暮らしているように見えて実は食事と散歩の時間以外はひたすら思索し、瞑想し、浩然の気に感応しているのである。
 人間共は知る由もない。愚かなことだ。

 我々には平和という概念は無いが戦争という同属の殺し合いもない。
 経済的発展はないが環境の破壊や同属への搾取はない。人間と我々とどちらが優れた生き方か比べるまでもない。

 
 さて一番、怪しからんのはこの家の若主人である。
 坊主のくせに昼間から漫画を読んで安逸にすごし、夜になればアニメのDVDを見ている。
 こいつが近づいてくる時は危険である。
 

 大した仕事もしないくせに自分の仕事に飽きると、
 
 犬小屋へきて我輩の愛くるしい顔をおもちゃにするのである。 

 全くもって無礼な奴であるっ!コイツ、いつか噛んでやるっ…