見仏魂


本日は兵庫のTOSHIさんという方が友人の方と一緒に拝観に来られた。

TOSHIさんは仏像に大変造詣が深い方で本格的なHP※まで開設しておられる。
快慶の深沙大将に特に感動された様子だった。
飾らない、まっすぐな気性の方で、いろいろお話できてとても楽しい時間を過ごすことができた。良い方との出会いというのは有難い。

※【お気楽に行こう!】http://www4.ocn.ne.jp/~yamamtso/index.html

この方のHPを拝見していると全国には本当に沢山の仏像の好きな方がいるのだなと感心した。TOSHIさんのHPを見ていると「見仏魂」という言葉が書かれてあった。仏像には人を強く引き付ける何かがあるのである。

坊さんといっても仏像そのものに造詣が深い訳でないのでそういう方とお話しているととても勉強になるのである。


本山に居た頃、「仏教概論」の講義があった。

テキストは高崎直道「仏教入門」(東京大学出版会)だった。講師は二条城そばのS苑と言う名刹のご住職で、とても優しい方だった。私達修行僧というのはいつも過労ぎみで、授業中、ついつい居眠りしてしまうのだがいつも見てみぬふりをして下さった。正に仏心である…

この「仏教入門」によればブッダ(buddha)という言葉が中国語で「浮図」(ふと)などと音写され、それが日本にはいって「ほと」になり、さらに「ほとけ」になったそうである。
「仏(ぶつ)」という言葉も“buddha”という言葉が変化してできたものだそうである。

つまり「仏(ほとけ)」も「仏(ぶつ)」もどちらもブッダに由来することになる。


中国、インド、朝鮮の仏像と比較しても、その量と質において日本の仏像文化というのは傑出していると感じられる。

私も最初は仏像の素晴らしさから仏教の門に入ったといっていい。
だが今はどちらかといえば仏像より仏教という教えそのものに関心がある。

仏教の教えの持つその深さと広さを感じるとほんとうに呆然とすることがある。
仏像への関心からお寺を訪れて下さる方々に是非、この教えの素晴らしさに触れて頂きたいといつも思うのだが、いつも仏像談義で盛り上がって終わってしまう。まだまだ修行が足りないのである…