神様の書いた本?〜木村藤子『「気づき」の幸せ』〜

【山寺の本棚】
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古書店にて木村藤子『「気づき」の幸せ』(小学館)を100円で購入。

木村氏は地元では「青森の神様」と呼ばれる霊能者である。
私は基本的に霊媒や霊能力者と呼ばれる人達に関わらないほうが良いと思っている。余りにも無責任なことを言って相手を惑わせる人物が多いからだ。全くの詐欺師も多い。このことは声を大にして言いたいと思っている。


木村氏は以前「自分の性格の欠点をひとつだけ直そうと努力すれば幸せにつながる」とインタビューの中で言っておられたが、確かにその通りだと思う。

私たちの不幸の原因は自分の思いと言葉と行いである。思いと言葉と行いを変えることを単純に言えば性格を変える努力といっていいだろう。

ところが人は往々にして自分を変えようとはしないし、不幸の原因が自分にあるとも思わないのである。それは正にエゴといっていいのだがそういった人達はどうやって幸せになろうとするかというと怪しげな霊能者や神様に頼って益々不幸への道をたどってしまうのである。

お釈迦様が説かれた修行の中心は八正道と呼ばれるものである。

それはとてもシンプルなもので、特別なものを期待するとがっかりするかもしれない。正しい生活、シンプルな生活の中に幸せはあるというのは正に真理である。

本書の前半は著者が霊能者として世に出るまでの半生が綴られ、後半は主に相談を受けた具体的な事例が取り上げられている。
読んでいて眼を疑うような相談も多い。

「がんになって、仕事もできなくなった主人と離婚したいんです」

夫ががんになったらどうやって病気を治すか、代わりに家計を支えるために奔走するかと思いきや、がんになったから別れたい…あまりにも自分勝手ではないだろうか。

とにかくここに書かれている相談内容には唖然とするものが多い。
だが…
人間が自分のエゴを自覚する手段として自分より遥かにレベルの低い人達の振る舞いを見て、多かれ少なかれ自分自身のエゴも同じ延長線上にあると観じることはとても有効なのではないかと思うのである。
その意味で本書は人間のエゴの醜さと迷いを自覚する反面教師としてとても有用である。


人は自分自身のエゴによって自ら迷い、人を傷つけ、自らもまた傷ついている
霊の祟りや霊障などが一切無いとは言わないが一番怖いのは人間自身の迷いの心である。

今朝も朝刊に運命鑑定の広告が入っていた。

鑑定料は大抵3000円か5000円だが鑑定の結果は何百万もするご祈祷を進められたり開運する印鑑や壷を買わされたりするのである。(コミュニティセンターや商工観光センターのような公的な場所でこうした詐欺まがいのことが堂々と行われているのは本当に残念なことであり腹立たしい。)

木村氏は心や魂や精神を総称してスピリットと呼んでおられる。

そしてスピリットにはすっかり迷いに陥って、正しい道を示されても理解する能力が無いスピリットと根気よく努力することで自分の不幸の原因に気づくことができるスピリットの2つがあるという。

不幸の原因が自らにあることを自覚すること、自分を変える努力をすることはとても大切なことである。その大切さを理解できるようになるために不幸は存在しているのではないかと思えることがある。

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