「テレプシコーラ」の魅惑

【山寺の本棚】



バーテンダー (Vol.5) (ジャンプ・コミックスデラックス)

バーテンダー (Vol.5) (ジャンプ・コミックスデラックス)

先日「バーテンダー」という漫画を読んで、とても面白かった。

赤ん坊のミルクを作る時、ふとシェイクしたら口あたりいいのではないか?と思いついて(←すぐ影響されます)粉ミルクのキューブを溶かすときに念入りにシェイクしたら細かな泡がいっぱい出来て美味しそう?だった。
心なしか子供も喜んで飲んでいる…気がしたのだが、得意げに妻に報告すると赤ん坊はミルクを飲ませた後、ゲップをさせて空気を出させなければならないという指摘を受けた。無駄というか、余計な努力だったようである…





久々に一気読みしたのが山岸涼子の「テレプシコーラ」である。

最初3巻まで買ってハマってしまい。4巻の表紙を見たらこれがカッコ良くて10巻まで一気に買ってしまった。もちろんブックオフである(笑)


山岸涼子さんの絵は線が細くて、弱い感じもするのだが、それでいて作品全体はズシリと重い、深い、面白いと三拍子揃っている。

10巻(第一部の最終巻)で大きな展開があるが、ラストも良い。山岸涼子の作品にはどこかに救いがあるのである。ただ悲惨で深刻なだけをリアリズムと思っている人があるが、そうではないと思う。

どんな形であれ人間の可能性、希望の実在というものを示すことができて初めてリアリズムの深さがあるのだと思っている。

作者本人もバレイを習っておられているだけあってバレイの世界観がすんなり頭に入ってくる、その中での熾烈で厳しい人間関係、親子の情愛、バレイへの執念、運命の悪戯…作品として人間関係もストーリーも過不足が無い。そこに加えて山岸涼子氏ならではの入神と呼びたいような冴えが随所にちりばめられる。

これはもう読むしかないですね(笑)

日出処の天子」以来のファンだが、この作家は時々、ものすごく深い世界にスッと入っていく感じがあっていつもすごいと思うのである、何がそうさせているのかよくわからないが。山岸涼子の作品を読めることはとにかく私には幸せなのである。

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