Blue Monday 或いは女性の敵の話
- 作者: 高梨みどり
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/12
- メディア: コミック
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先日、中古書店で高梨みどりさんの「Order-Made」(講談社)という漫画を何冊かまとめて買った。
主人公は若い女性の仕立て職人で、オーダーされた服を仕立てるために奮闘しながら、依頼した相手の人生とかかわっていく。
この手の漫画は主人公があんまり熱くなりすぎても、また披瀝される専門知識が冗長でも面白くないが、爽やかな読後感がある。
5巻にバーテンダーの制服を作る話があって、そこで「one for the roadワン フォー ザ ロード」という名前のカクテルが出てくる。
興味を持って少しネットで調べてみたのだが、もうひとつ意味がはっきりしない。
「one for the road」というのは家に帰る勇気を与える酒という意味のようである。
家に帰る前に飲み屋に立ち寄り、最後に飲む一杯が「one for the road」であり、また同じ名前のカクテルもあるようである。シナトラもこの名前のナンバーを歌っているようである。
『アルコールは人間にとって最悪の敵かもしれない。しかし聖書には敵を愛せよと書いてある。』 フランク・シナトラ
「one for the road」は酒飲みの口実ともとれる。この一杯は家に帰る勇気を与えてくれるんだ、だからもう一杯と。
だが、家に帰るのに勇気が必要だと思っている男性は多いのではないだろうか。
先日、本山に行った帰りに食事をしようと思ってファミレスに入った。
私の席の真後ろに小さな子供を連れたヤンママさんが三人座っていた。
すぐ後ろなので三人の会話が良く聞こえた。ひとしきり会話が続いた後、旦那さんの話になり、いかに育児が大変か、そして家に帰った旦那がいかにぐーたらで育児を手伝わないかという話題で盛り上がった。
「毎晩飲んで帰ったり」「映画を見に行ったり」「競馬行ったり」「パチンコ行ったり」…
自分が家庭で育児で大変なのに夫は気楽であるという話が延々と続いた。
妻の持っている育児雑誌に「イクメン」という言葉が載っていた。
育児を一生懸命やるご主人のことを「イクメン」と呼ぶのだそうである。
男性の立場から言うと「イクメン」という人達がいるのは構わないが、雑誌が面白おかしく取り上げていることに乗っかって「あなたもイクメンを見習いなさいよ」といわれるご主人は少し可哀想である。
外で仕事をして帰ってきて、家で奥さんに責められたらやっていけないと思うのである。
育児は確かに大変だが、育児は女性の領域であると私は思う。
まず旦那は外で生活費を稼いできている。旦那の稼ぎがあって生活が成立しているそのことをまずキチンと評価しないといけないと思うのである。
仕事から帰って育児に精を出しなさいというのは、会社から帰った旦那が机の上にどさっと資料を積み上げて奥さんに「これを明日までにワープロで打ち直しといて」と言うのに等しい。
最近は物騒な世の中である。
家族が暴漢に襲われるという危険がゼロではない。私は東京に居た頃、出先で通り魔事件がおき、5分ほどの差で現場に居合わせたことがある。
家族が暴漢に襲われたら守るのは男の役割である。当然ながら命懸けである。
男性というのはそういうリスクも背負っているわけである。育児をしている女性でそんな場面まで考えている人はあんまりいないだろう。
先日も新聞にお寺に暴漢が侵入して住職を縛り上げ、現金を奪ったという記事が載っていた。
抵抗しなかったら身の安全は保障されるという確証はどこにもない。縛り上げて無抵抗になってから殺された例はいくらでもあるからである。ならば…家族を守る為には暴漢が侵入した時点で即座に殺すくらいの反撃をすべきか?などと物騒なことまで考えたりする。
子供がまず求めるのは母親であって父親ではない。これは生物の本能として必然である。
<妻>は子供ができると<母親>になっていく。
夫が家に帰ると<妻>がいなくて<母親>だけがいる。子供は母を求めている。
疲れて孤独な<夫>と仲の良い<母親と子供>
これは男にとってメチャクチャ寂しい状況である。
子供のできた女性が<妻>ではなく<母親>優先になるのは仕方がない。それによって男性はとても寂しいという思いをしている。相手に<妻>という役割を強制できないことも理解できるとしたら、どうするかというと、自分の世界に入るしかないのである
それはぼーっとだらしない格好でテレビを観るとか、酒を飲むとか、自分の好きなバイクの乗るとか、パチンコに行くとかである。
仕事で疲れた心はそれでようやく心のバランスをとることができる。
働くというのは社会に出て他人に頭を下げるということである。家庭にいて子供を相手にするよりやっぱり大変なのである。
ところが<母親>にはそれが分からないことが多い。夫が家に帰ってだらだらしていると
『いいわね、私は家でずーっと子供の世話してるのに』
と責められるわけである。
これでは男はやっていけません(笑&泣)
これが続くとどこかで限界が来る。
浮気、酒びたり、無気力、DV…
世の中にはどうしようもない男も一杯いるのは事実である。
育児が大変なのも事実である。
ただ育児で疲れて完全に<母親>モードになる前に時々<妻>になってほしいのである。
時々<妻>モードのスイッチを入れて夫の立場を理解してあげてほしいのである。
長く付き合っている友人が先日離婚してしまった。
酒もタバコも嗜まず、時々バイクに乗りに行くのだけが楽しみだった。
ところが育児中の奥さんはそれが面白くなかったらしく、彼がバイクに乗りに行くたびに彼を責め続けた。そしてとうとう離婚してしまったのである。
無口な彼が子供の話しになるととても嬉しそうに語っていた顔が忘れられない。
スタンリー・キューブリック監督の「シャイニング」だったと思うが、こんな台詞があった
「女なしでは生きられない 女がいたら生きられない」
世の女性はこの文章を読んで私のことを身勝手な男で女性の敵と思うだろう。
まあ、いいか…(笑)
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