人形が怖い話
【山寺の本棚】
何年かに一回、古い人形をお寺に持ってきて処分を依頼されることがあるのだが、住職は頑なに断る。理由を尋ねると「人形が怖い」というのである…
いい歳の大人で、しかも僧侶が人形が怖いというのも変だが、そういうところは人間的でちょっと好きである(笑)
もっとも私もどちらかというと人形はあまり好きではない。
人間のようであって人間でない…人形というのは不思議な存在である。
三月の節句に合わせて義母が立派な雛人形を送ってくれた。
それを見た母が祖母が買ったという古い人形を持ち出してきた。これがかなり大きな日本人形である。やはり古くて大きな日本人形はちょっと怖い…
子供の頃、私達の家族ははお寺ではなくて市内の民家に住んでいた。
寝室は2階なのだが、階段の踊り場に箪笥があって、その上に日本人形が置いてあった。この人形が夜は結構怖いのである。
階段は赤っぽい光の白熱球で、その明かりを頼りに階段を下りていくのだが
もし…人形がガラスケースから抜け出して後ろから首筋にまとわりついてきたら…
子供心にそんな怖い想像をしたことを今でも覚えている。
夜、階段を上がっていくときも怖い。
もし…人形が眼に入って、何か怖いことが起ったら…
そんなことを想像して必死で人形から眼をそらしていた。
どう考えても置く場所が悪いのである。
後年、ホラー好きになってしまったが、やはり人形系の話は怖いものが沢山ある。
少女漫画で思い出すのは
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わたしの人形は良い人形―自選作品集 (文春文庫―ビジュアル版)
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山岸涼子氏はホラー系の作品が多いが、人間の本質にせまる怖さがある。
美内すずえ氏は「ガラスの仮面」が名高いがホラーの傑作も多い。(美内すずえ氏のホラーで一番好きなのは「黒百合の系図」である)
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続編が幾つも作られたがやはり第一作が一番良いように思う。
だが、人形系のホラーで一番怖かったのは稲川淳二氏の怪談である。
タイトルは「生き人形」。これは相当に怖いです。怪談の名手たる稲川氏の怪談の中でも最恐ではないかと思う。
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昨日、妻にこの「生き人形」がいかに怖いか話そうと思った即座にさえぎられた
「やめて!私は怪談が一ミリも聞けないの!」
話の内容と単位があっていないが(笑)、とにかく怖い話が駄目なのだという。
たまには夫婦でホラー談義も悪くないと思ったのだが…
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