頭蓋骨×黒鉄ヒロシ×とみ新蔵×園田健一

【山寺の本棚】

犬の散歩は妻の日課である。1週間ほど前に境内の向かいに公園に散歩に出かけて帰ってきた妻が困惑げに

「脚が落ちていた…」

と言うので写メを見せてもらうと、動物の脛から先が写っている。公園の中に動物の脚が一本落ちていたのだという。住職は写メを見て「鹿の脚だ」と即答。

3日ほど前は妻が境内の奥に犬を連れていって帰るなり

「今度は鹿の頭蓋骨が落ちていた…」

と言う。どうして鹿の頭蓋骨だと分かるかというと立派な角が生えていたのだという。

拾ってくると、まだ若い雄鹿の頭蓋骨のようだった。かなり傷んでいてそんなに新しいものではない。山寺の境内にはいろんなものが落ちている…


「葬式は、要らない」を読んで反論を書いていたら少し疲れた。まだ核心の部分は書いていないが、相手にキチンと反論するのはなかなか骨が折れる作業である。気分転換に昨日は中古書店で漫画を5冊購入。


黒鉄ヒロシ・ペリー荻野「伝説日本チャンバラ狂」(集英社 

伝説日本チャンバラ狂 名作時代劇おもしろドキュメント

伝説日本チャンバラ狂 名作時代劇おもしろドキュメント

チャンバラにも、黒鉄ヒロシ氏の漫画も関心がなかったのだが、何気なく手にとってパラ読みすると、面白い漫画のオーラが感じられたので即買いした。

新撰組血風録」「木枯らし紋次郎」「三匹に侍」「水戸黄門」「眠狂四郎」「てなもんや酸度笠」「十三人の刺客」…今では伝説になったチャンバラ番組にまつわる実録風漫画である。

チャンバラというジャンルに渦巻いていた役者、監督、スタッフの熱気が伝わってくる。名作は必ずしも順風満帆の条件の中で作られたものではないというのが面白い。
大抵は低予算に泣き、周囲の反対に遭い、それを必死に乗り切っていく姿が感動的ですらある。作品を作ることの難しさと面白さが同時に伝わってくる。

私の好きな「座頭市」や「子連れ狼」の載っていないのが残念だが、続編があるなら是非読みたいものである。

太秦東映映画村の誕生秘話も面白い。単なるハリウッド風のテーマパークとして出発したのかと思ったら、娯楽の中心が映画からテレビに移り、風前の灯となったチャンバラを復活させる目的で作られたのがこの太秦映画村だったという。
チャンバラの知識が無くても眼から鱗の落ちる面白さである。



とみ新蔵柳生兵庫助 七」(リイド社 

柳生兵庫助 7 (SPコミックス)

柳生兵庫助 7 (SPコミックス)

柳生兵庫助」の最終巻である。佐々木小次郎と武蔵の決闘、兵庫助と武蔵の対決、寂滅為楽の境地に至る兵庫助…どのエピソードも素晴らしい。

この漫画は柳生兵庫助の生涯を描いている。こうした作品では少年時代が面白いことが多いのだが、この作品では老境に入って、円熟至人の境地に達する様子が誠に奥深い。兵庫助は晩年に出家し如斎雲と号し、自然に溶け合った生活を送るが、孤高であることの侘しさ、虚しさまで描かれている点で武術を題材とした漫画の中でも傑出したものといえるだろう。

春は花 夏は泉に 秋は月 冬の雪をも友とこそすれ    如斎雲



園田健一GUNSMITH CATS BURST」3、4、5巻(講談社) 

GUNSMITH CATS BURST(3) (アフタヌーンKC)

GUNSMITH CATS BURST(3) (アフタヌーンKC)

GUNSMITH CATS BURST(4) (アフタヌーンKC)

GUNSMITH CATS BURST(4) (アフタヌーンKC)

GUNSMITH CATS BURST(5) <完> (アフタヌーンKC)

GUNSMITH CATS BURST(5) <完> (アフタヌーンKC)


車とガンへのマニアックさが半端ではない。私はどちらにも興味が無いが、何かが伝わってくる。
犯罪者、賞金稼ぎ、悪徳警官…描かれるのはとことんアンダーグラウンドな世界でその世界観にもあんまり感心しないのだが、とにかく作者の持っている勢いと情熱に引っ張られて最後まで読んでしまう。



何も考えずに買った漫画だが、なぜか<情熱>というものの存在が共通項として引っかかった。

チャンバラへの情熱、剣技にかける情熱、車とガンへの情熱…

どの世界も私には縁が薄いのだが、人が何かに情熱を燃やす姿は私たちに何かを思い出させてくれる。
それは多分とても大切なことである。

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