花冷えと水仙

ネットのニュースでちょっと心が温まった。

ひき逃げされてケガをしたまま収容された迷い犬が女子高生の奮闘で殺処分の数時間前に飼い主の元に戻されたというニュースである。
【関連記事】http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100330-00000021-maip-soci


朝起きると境内にうっすら雪が残っていた。

予報では数日後には気温が上がり始めるとのことである。何度も寒の戻りがあるが今年の冬は総じて雪が少なかったことに感謝しないといけないだろう。

境内にある冬枯れのもみじの梢に小さな紅い新芽が一斉に顔を出している。もみじの紅葉は2回ある。11月と新芽の時節である。

この時期に車で田舎道を走っていると水仙が眼につく。
淡い黄色から濃いクリーム色までいろんな種類の花がある。強い感じのする尖った葉の緑も心地好い。群生していることが多いが繁殖力が強い植物である。

バブル経済最盛の頃、20代上京した。
高田馬場の駅に降りたときに空の色が鈍い鉛色で自分の知っている空の色とあまりに違って見えた。これが東京の空か…と思ったことを覚えている。

今、私の周りには都会では考えられないくらいの自然がある。
そんな環境で生活でき、子育てができるのはとても有難いことだと思う。

自然と付き合って暮らしていると、心が偏ってしまったときに穏やかに、暖かかに軌道修正してもらえることが多い。

昨日も車で走っている時に強い感情に襲われて少しイライラしたのだが、何株かの水仙が眼に入ったら、スッとその感情が消えた。そんな時は有り難いなと思う。

同じ花の寺のご住職に「花を見て怒る人はいません」と言われたことを時々、思い出す。この地で暮らしていて、自然に何度心を救われたか分からない。
僧侶とはいっても自分は凡夫と何も変わらないと思うことがある。凡を超えるというのは易しいことではないなとしみじみ思う。

先日、法事で檀家さんに梵字の話をした時に

「『ボン字』の『ボン』は『煩悩』の『ボン』ですか?」

と聞かれた。
凡夫が話しをすると梵字の有難さも消えるようである。


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