青木さんなんかいらない

葬式は、要らない (幻冬舎新書)

葬式は、要らない (幻冬舎新書)

今月のお坊さん専門誌「寺門興隆」に「葬式は、要らない」の著者島田裕己氏にインタビューが載っていた。

「初めは『葬式は贅沢』というタイトルだったんですが、出版社から『葬式は、要らない』『葬式無用』のどちらかにといわれたので、それに沿って内容も変えました」

島田先生は正直ですね(笑)

物議をかもした「葬式は、要らない」が最初にタイトルありきだったというのは意外といえば意外、やっぱりといえばやっぱりである。
思い出したのが同じく幻冬社の「参議院なんかいらない」という本である。

参議院なんかいらない (幻冬舎新書)

参議院なんかいらない (幻冬舎新書)

2冊並べると、「幻冬社の商法」というのが良くわかる。というより売れる本の作り方というべきか。

始めにバーンと全否定しておいて購買意欲をそそる。
だが、よく読むと中身は別に全否定でもなんでもないのである。

全否定もタイトルだけではない、少し前に取り上げた「なぜブッダが女嫌いになったか」も帯にはこう書いてあった

ブッダは超マザコンで自己チューな非情男

これもある種の全否定である。上手いと言えば上手い。あざといといえばあざとい。
だがこれが売れる本作りのひとつの常道なのであろう。

参議院なんかいらない」はかなり面白かった。

参議院を去った歴戦の強兵の鼎談というところである。三人とも参議院の裏も表も知り尽くしているから政界の裏事情には特に食詳しい。

昨日、取り上げた青木さんについては

参議院を駄目にした元凶」
と名指しされている。

平野 もう一人忘れてならないのが、参議院自民党のトップである青木幹雄議員会長の責任です。青木さんは政治家として自民党的には有能でも議会政治家としては無能である。これを指摘しないといけない。自民党、そして日本の政治がおかしくなった、その大きな責任の柱に青木という政治家がいるのは間違いない。それを国民の皆さんによくして知ってもらう必要がありますね。
村上 自民党執行部は郵政民営化に反対している議員のことを反党行為だ、造反だと言った。しかし参議院が院の威信にかけて否決という結論を出したのであれば、たとえ自民党議員であったとしても、それ以前に参議院の良識として、その結果を尊重せねばなりません。参議院が否決すれば衆議院を解散するのではなく両院協議会に持っていく、または衆議院に戻すというのが、憲法や国会法の規定です。この規定通りにきちんとやれと参議院は強く主張すべきだったのです。議会政治はプロセスが大事です。
 参議院議員会長である青木さんは職責を賭してでも、解散を阻止すべき立場にあった。にもかかわらず、逆に、小泉首相に迎合し、解散を阻止しようとした連中を恫喝まがいのやり方で村八分にした。まさしく参議院自民党のトップとしての見識が問われる問題です。
(中略)
平野 そもそも政策的には、青木さんは郵政民営化反対の立場でしょう?
筆坂 そうです。青木さんはもともと公社制度維持の立場でしたから、郵政民営化には反対のはずです。しかし、小泉人気には太刀打ちできない。そこで解散がないという参議院の強みを狡猾に利用して小泉にも譲歩を迫りつつ、民営化賛成に態度を豹変させてきた。小泉にも恩を売り、参議院からの求心力も保持するという戦略でしょう。

(中略)

平野  …青木さんは竹下登さんの地元秘書をやって、県会議員から参議院議員になった人です。私も役人時代から竹下さんとは関係が深く、役人の立場を超えて仕事をしていました。竹下さんは分割統治をした政治家でした。お金を集めるグループと、政策や理念を吸収するグループと、さらには派閥などの雑事をやるグループ。それらを見事に分けていた。その中でお金集めをやっていたのが青木さんなのです。
 彼は田舎のおとっつぁんタイプで、非常に腰が低く、誰でも丁寧に扱って、そして上手にお金を集めた。その後、だんだんと自民党参議院の人材がいなくなっていく過程で、この理念も政策も正義感も何もない人がいつのまにかトップに登っていた。

なかなか興味深い内容ではある。
参議院なんかいらない」の著者の一人である村上正邦氏らへのインタビューを含む「逆臣青木幹雄」という本も最近出版された。(笑)

逆臣 青木幹雄

逆臣 青木幹雄

政局はいよいよ迷走していく。
混乱に後に何が残るのか、それとも何も残らないのか…。但し青木さんの動きには要注意のようである。

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