魂に響く歌

Youtube漂流記】

雪が少なくて暖冬だと思っていたら、春になっても朝晩は身に沁みるほど寒い。未だにストーブを焚くこともある。

さらにカメムシが異常なくらい発生している。『京都の鈴虫寺』に対抗して

『丹後のカメムシ寺』

とか呼ばれそうである。なんとかならないものか…


本山から送られてきた布教資料「仁風」に朝崎郁恵さんのことが載っていた。

鴨居智峯僧正という方が「お経はご先祖様と語らうBGM」という文章のなかで書いておられた。

朝崎さんの歌詞の意味は分からないが部屋を暗くして聞いているととてもリラックスできて母親の胎内にいるような感覚になると書いてあった…一体、どんな歌なのだろうかとYoutubeで検索するとやはりいくつも映像があった。

実際、歌詞は殆どといっていいほど理解不能である。にもかかわらず何か心の深い所が、大袈裟に言うなら魂が揺さぶられるような感覚がある。この感じを伝えるのは難しいが、現在の楽曲には無いとても深い何かという気がする。

嫋々とした哀切さと純粋さがある。そして正に鴨居僧正の言われるような母性が感じられる。
何度が聞きなおしていると古い子守唄にも少し似ているかもしれないと思ったりした。


鴨居僧正は娘さんの供養に来られた初老のご夫婦に「お経の意味がわからないので日本語で唱えてほしい」と言われたそうである。

そこで鴨居氏は和文経典を取り出してお勤めされたのだが、このご主人は「和文経典だと意味は分かるがいつものお経のほうがゆったりと娘のことを追憶うことができました」と言われた。

鴨居僧正はお経というのは亡くなった方を思い出して語らってもらうためのBGMなど気付かれたというのがこの文章の趣意である。

読経することにはいろんな意味があり、いろんな気持ちが込められていると思う。

供養する人に気持ち。僧侶自身の気持ち。そして供養される側の気持。お経を書かれた人の気持ち。そのお経を唱え続けた幾多の人々の気持ち…

それらが交響楽のように響き合い、交じり合って読経というものを作っているように思う。
BGMとしてのお経は決して単調ではないのである。


【お知らせ】
いつも拙文をご笑覧頂きまことにありがとうございます。
所用ででかけますので7日頃まで更新をお休みさせて頂きます。
                      合掌 

                         ぶろぐ坊 九拝


ブログランキ
ング・にほんブログ村へ
にほんブログ村←丹後の山寺に住む副住職に応援のクリックをポチッとおねがいします(^人^)