動物病院にて

朝、朝食を食べにキッチンに行くと、妻が

「指が高木ブーになった」

という。妻は数日前に食器を洗おうとして食器スポンジの裏側にいたムカデに指を噛まれたのだが、噛まれた指がパンパンに腫れている。
誠にお気の毒である。山寺の嫁というのはいろんな目に遇う。顔を噛まれたら顔が高木ブーになるのだろうか…



数日前から飼い犬のバロンが食事をしなくなった。食べてもすぐ吐いてしまう。
仕方がないので住職愛用の1トントラックにバロンを載せて町の動物病院へ。

動物病院の待合室はとても清潔&お洒落で連れてこられる動物もみんなメチャクチャ綺麗。体臭すらしなさそうである。ヒールの高い靴を穿いたお嬢さんに連れられた犬はフリフリのスカートを穿いてたりする。

一方、我が家のバロンは野生たっぷりの臭いを撒き散らしている。

バロンが抵抗する→取り押さえる→服が汚れる

と考えたので私も一番汚い作業着を着て、軍手をはめて出かけた。
私とバロンは待合室で違和感が…

ふと黒澤明の「用心棒」を思い出した。
映画からは匂いは伝わってこないが、主人公を演じる三船敏郎というのは野性味たっぷりの体臭を撒き散らしていたのはないかと言う気がした。

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診察室に入るとまだ学生っぽい若い獣医氏は

「お父さん、注射をしますから首輪を抑えてください」

と言われる。(この病院では飼い主は「お父さん」「お母さん」と呼ばれる)私はバロンの首輪を触っただけで噛まれた経験があるので。

「絶対に嫌ですっ!」

と即返…

獣医師が注射をしようとするとやはり大暴れである。
獣医師はまず噛み付けないようにエリザベスという首巻を装着しようとするのだが、それも不可能な状態である。
歯をむきだして戦闘モードに入ったバロンの顔は怖い。「エクソシスト」で少女に悪魔が憑依したみたいな顔になる。

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若い獣医師は仕方なく口輪という器具をはめようとするのだが、これまた大暴れである。とうとうバカ犬力で口輪を切断してしまう。

「どんなけ、キツイ犬や…」

と獣医氏はあきれ気味で、今度は若い女性の助手を連れてきて三人がかりである。椅子を使って部屋の隅に押し込めて口輪をはめ、ようやくエリザベスを装着。
三人とも無傷だったのが不思議なくらいの暴れようである。

エリザベスを装着すると今度は私に向かって

「注射をしますから犬を抱きかかえていてください」

いくらエリザベスをしていても先ほどまで大暴れして噛み付こうとしていた犬をハグするのはかなり勇気いる。仕方がないのでかなりビビりながらバロンをハグして抑える。
診断の結果は…

「大きな病気は無いようなので様子を見ましょう…」

山寺に帰ると三時間近くたっていた…


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