菩提寺が重宝する話

坊主DAYS (1) (ウィングス・コミックス)

坊主DAYS (1) (ウィングス・コミックス)

宗教に関心の深い友人に「坊主DAYS」を貸したら、とても面白かったので自分も購入したとのこと。結構ツボにはまったらしい。

「坊主DAYS」を返すときにこの友人は私が前から読みたかった白川密成「ボクは坊さん」と水木しげる「猫楠」を貸してくれた。どちらも1割くらいしか読んでいないがかなり面白い。

ボクは坊さん。

ボクは坊さん。

「ボクは坊さん」は文章がこなれていて、楽しく笑わせながら、時々、深い何かを感じさせてくれる。空海の教えが随所に織り込まれ、とても為になる本を読んでいる気にもなる。

24歳という若さで四国の名刹の住職になった作者の面白く、楽しく、為になる奮闘記である。
私より一回り若い世代の和尚さんの感性に脱帽である。

猫楠 南方熊楠の生涯 (角川文庫ソフィア)

猫楠 南方熊楠の生涯 (角川文庫ソフィア)

「猫楠」は妖怪ならぬ「怪異な人」としての南方熊楠が描かれている。また粘菌といった南方熊楠の不思議な世界が水木ワールドに絶妙にリンクされていて、こちらもかなり面白い。やはり水木しげるというのはただ者ではないと感じさせる一冊である。



本日の午前中は法事が一件。

子供たち数人が一生懸命般若心経を唱えてくれたので、地蔵菩薩は子供の守り神なので、地元のお地蔵さんにも手を合わせて下さい…というようなことを話したら、後で若い当主に目が点になるような質問を受けた。

「お地蔵さんに手を合わせるとお地蔵さんがついてくると聞いたのですが本当ですか?」

初めて聞いた話だったので聞き返すと、お地蔵さんにむやみに手を合わせるとお地蔵さんの背後にある何かが自分についてくる(憑いてくる?)と聞いたことがあるとのこと。

全く不可解な話なので、きっぱりと否定しておいた。

水子さんをお地蔵さんで祭ることがあるので、そのことへの誤解から「水子の祟り」のアナザー・バージョンとして派生した話のように感じた。

妄言妄説というのはなかなか無くならないものだと思った。

たまたま地蔵菩薩の話をしたので当主氏は聞いてくれたから良かったが、そうでなければ若い当主氏はなんとなく釈然としない気持ちでお地蔵様に手を合わせ続けたことだろう。

檀家さんには仏事や信仰に関する疑問はどんどん聞いて下さいというようにしている。

最近は菩提寺よりテレビの影響が大きいのではないかと思うことがある。
有名人の根拠の無い一言を信じてしまう素直な檀家さんが後を絶たないのでる…そのためにも質問はどんどんしてほしいと思っている。

もっとも、あんまり高度な仏教哲学についての質問は返答に窮するかもしれないが。以前も「“空”とは何ですか?」とかなり究極的な質問をされて焦ったことがある(笑)


菩提寺とのお付き合いといってもいろいろある。

先日、遠方から参拝に来られた方から相談を受けた。先祖代々の墓所に訳あって縁故者を合葬したら親戚筋からいろいろと難癖をつけられたというのである。

そういう場合はまず菩提寺の住職に了解をとったうえで、「菩提寺の住職に許可を頂いている」ということを前面に押し出して話をすると理解を得やすいですよと答えた。親戚はありがたいものだが時々、親切が高じてあり方迷惑な言動をとる方もある。

そういった場合はやはり菩提寺を上手に使うというのが良いのではないかと思う。


人が亡くなると仏壇屋さんや墓石屋さんが営業にやってくる。

こういった業者さんを断る場合も「菩提寺の住職に相談してから決めます」と言うと当たり障りがない。もっとも業者さんに「ご住職をよく存じ上げています」と言われて高い商品を購入してしまった檀家さんもいる(笑)

時に菩提寺は重宝なのである…
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