小林よしのり「昭和天皇論」を読んで

【山寺の本棚】

本日は雨。
当地ではそれほどではないが、近畿や九州ではかなりの降雨とのこと。

昨日、暑いと思ったら舞鶴の気温は全国最高気温(33.8度)を記録したとか。
今年の夏も猛暑だろうか。お盆が思いやられる…。もしかしたら舞鶴のお坊さんのお盆は日本で一番過酷になるかもしれない。



暫く前に京都市内に出かけた時に天皇皇后両陛下が京都に来ておられた。

私の用事のあったビルのそばの大通りを車で通られるというので、沿道で見送ることにした。

しばらくして両陛下の乗られた車が私の前を通られたのだが、皇后陛下が沿道に向かって一生懸命手を振って下さっていた。私は皇后様と眼が合いそうになって、手を振り続けることができずに思わず頭を下げてしまった。

その時、少し驚いたことがある。テレビなどで皇族がお手を振られている姿を見かけるが、少なくとも私の前を通られた皇后様は沿道の一人一人を懸命に意識されようとされていたということである。テレビなどでたまたま手を振っておられる場面を撮影されたと思っていたら、実はどんな場合でも可能な限り群集一人一人に心を向けて下さっていて、車で移動される間ずっとそうしておられたということが伝わって少し感動を覚えた。

ゴーマニズム宣言SPECIAL 昭和天皇論

ゴーマニズム宣言SPECIAL 昭和天皇論

1ヶ月程前にブックオフで「昭和天皇論」を購入した。350円也。
これはかなりなお勧め作品である。

昭和天皇の事跡をいろんな角度から掘り下げられている。
小林よしのり氏特有の毀誉褒貶の激しさは相変わらずで、例えば吉田茂などは少し低く評価されすぎている気がするが、様々な資料にあたって昭和天皇の姿を浮かび上がらせている。

小林よしのり氏の一連の漫画はそこに盛られている情報と思想と表現の質と量において第一級の漫画家である。
特に挑発的とも言える問題定義が素晴らしい。


先日3Dで「アバター」を見たが、3Dといった技術も所詮は<見世物>でしかなく、作品に深い思想や芸術性を盛り込むことにはつながらないということを改めて感じた。




私が一番、感動したのは第7章の「昭和天皇の御巡幸」である。

陛下の御巡幸というと大名旅行のような雲の上の待遇を想像してしまうが、時に1日に5千回も帽子をとって会釈されるなど、心身共に過酷な行程は、実際には余人には真似のできない難業であったという。

GHQは日本国民が陛下を目の当りにすることで国民の天皇家への敬慕を無くさせることを目論んだようだが、結果として陛下の御巡幸は敗戦に打ちひしがれた国民を鼓舞する上で計り知れない力となった。陛下の行動を読んでいるとある種の<無私>や<虚心>と呼びたくなるような振る舞いに身震いするような感動を覚えた。

日本人に天皇家への崇敬と敬慕があったことは日本人の<和>の性格を形成する上で計り知れない役割を果たしたと思っている。その一事を以ってしても天皇家は日本人にとってかけがえのない存在である。

管総理は早々に在任中は靖国神社に参拝しない旨の発言をしたが、やはり失望である。

管総理には是非小林よしのり氏の「いわゆるA級戦犯」を一読されることをお勧めしたい。
A級戦犯なるものがいかに戦勝国の欺瞞に満ちたものであったか、執念を以て綴られているからである。管総理の政治信条も思想も一介の漫画家に遠く及ばないのである。

いわゆるA級戦犯―ゴー宣SPECIAL

いわゆるA級戦犯―ゴー宣SPECIAL

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