お釈迦様は裁縫上手

釈迦の本―永遠の覚者・仏陀の秘められた真実 (NEW SIGHT MOOK Books Esoterica 9)

釈迦の本―永遠の覚者・仏陀の秘められた真実 (NEW SIGHT MOOK Books Esoterica 9)

【山寺の本棚】

最近は「釈迦の本」を枕元に置いてパラ読みしている。
いろんな面白い記事があって興味が尽きない。


釈迦というのは個人の名前でなく釈迦族という種族の名前である。
当時の主流であったアーリヤ人が狩猟系民族で、麦を主食としていたのに対して、釈迦族は農耕民族系で米食であった。

釈迦の父は浄飯王という名前で、兄弟も白飯、甘露飯という名前であることからも釈迦族が稲作文化と密接な関係があったことが分かる。

苦行で疲労困憊されたお釈迦様はスジャータという娘の奉げる乳粥を食べて回復され、悟りを開かれるが、これも米のもっている力を暗示しているとしたら面白い。

米食だったお釈迦様の教えが米食を文化とする日本に伝わって独自の発展を遂げたというのも興味深い。

    関連記事【伝説の乳粥】http://d.hatena.ne.jp/burogubou/20071017



「釈迦の本」の末尾はお釈迦様のお弟子達のお話である。

お釈迦様の高弟の一人にアニルダッタ(阿那律)という盲目の方が居られた.

或る日、アニルダッタは衣が綻(ほころび)ていることに気がついて、繕おうと思い、「どなたか針に糸を通してくれませんか?」と声を上げたら、返事をされたのは他でもないお釈迦様だった。

固辞するアニルダッタを制して、お釈迦様自らが衣をつくろってくださったという。

お釈迦様というのは後世には超人のように描かれることも多いが、このエピソードには釈迦教団のとても人間的側面とお釈迦様の優しい心遣い伝わってくる。とても素敵なエピソードである。




本生譚(ジャータカ)という仏教説話のジャンルがある。

過去生の釈迦が国王、商人、様々な動物などに生まれ、善行を積むという物語である。

私はお釈迦様への崇敬がこうした説話を作っていったのだと解釈していた。

輪廻転生という考え方に従えば、過去生に無数の転生を繰り返しておられるわけなので、いろんな説話を生み出し続けることができる…


…と思っていたら、ドキリとするようなことが書いてあった。

お釈迦様はいろんな説法をされたが、その中に自らの前世について語られたのではないか。
というのである。なぜなら…


なぜ釈迦は悟りを開くことができたのか?
釈迦以外の人々が悟りを開くために何をすべきなのか?


という問いに答えるために釈迦自らが前世を語ることで、弟子たちの修行の資にされたということは大いにありうることである。
それがベースとなり、敷衍され、文学的な創作や、布教のための方便として本生譚が次々と生み出されていった…

この考えはとても興味深い。久々に眼から鱗の落ちるような興奮を感じた。


この話には個人的な続きがある。

私は妻にもこの「釈迦の本」を薦めたのだが、妻はしげしげとこの本を見て、十数年前にこの本を買っていたというのである。しかも、妻はある日、電車の中でこの本を読んでいて、とても感動した箇所があって、それがお釈迦様の前世に関する部分だというのである。

十数年前といえば私とまだ出会っていない頃である。まさか自分が丹後の山寺に嫁いで苦労するとは思っていなかっただろうが(笑)、ちょっと不思議な縁(えにし)を感じた…


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