東洋医学で心のこりをほぐす
最近、少し気になっていることがある。
街角で無料で健康器具を体験できますといった施設が増えていることだ。
その施設の中で一体どういうことが行われているのかよく分からないが、50万〜100万もするような健康器具が売られているという話を聞いたこともある。
日本人は健康に大変関心が強いがそれは同時にとても大きな落とし穴になっているのではないかという気がすることがある。
もう「大病院」には頼らない―東洋医学であっけないほど「痛み」を癒す (講談社SOPHIA BOOKS)
- 作者: 代田文彦
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/05
- メディア: 単行本
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治療家が患者さんと雑談するような気軽口調で書かれていて、興味が尽きない。
東洋医学では病気や体調の不良は本人の心や人生と別個にあるのではなく、連続的である。
そういったものの見方にとても魅力を感じる。
サプリメントや健康器具というものにはこういった発想や哲学は感じられない。
どこからでも読み始められるようになっている。
肩こりの根源は胃腸にあり
お灸はや指圧は脳を刺激している
体は治し方を知っている
病気は慢性化すると、背中のツボに反応が出る
心の「こり」をほぐすツボ
体が楽になれば心も楽になる
針やお灸で不眠が治るなんて
筋肉をゆるめると、脳もリラックスする
などなど…魅力的な内容が満載である。
白黒のイラストが載っていて、初心者でも簡単にツボを見つけることができるようになっている。よく写真上にツボをマーキングしたものがあるが、むしろイラストのほうが分かりやすい。痒いところに手が届くような配慮がある。
筆者の独特の楽天的で、おおらかな考え方はとても魅力的である。
2日ほど続けて炎天下で草刈をしたら、身体が急激にバテてしまったので、早速、この本を参考に足三里にせんねん灸をすえることにした。
筆者は決して頑健な体質ではないが、足三里にお灸をすることで
松尾芭蕉の「奥の細道」の冒頭にも芭蕉はこの足三里にお灸をする描写がある。
昔から長寿、健脚のツボとして有名だったようである。足にあるので足だけに効くというのではなく胃腸の強化、免疫力の向上、基礎的な体力の向上などに有効のようである。
足三里は膝のそばにあって自分でも簡単にお灸することができる。これもこのツボの優れたところである。
病気とどう付き合うかというのは難しい問題である。
病気になると心に大きな負荷がかかり、それが身体にフィードバックしていく。
治療というと狭義には西洋医学を中心とした現代医療であるが、針灸、指圧、漢方などを含む東洋医学を視野に入れると選択肢が大幅に増える。そのこと自体がある種、心のこり
をほぐしてくれる気がする。
本当なら仏教をはじめとする宗教家が病気を持った方と向き合い、心を癒すというケアに参加しなければならないのかもしれないが、これはなかなか難しい問題である。
筆者はよく患者にこんな例え話をするそうである
「川の中に浮かんでいる一枚の木の葉を想像してみてください。あなたは、その木の葉に乗っかっている一匹のありだと考えるのです。このとき、早く地面の上に行きたいと思ってジタバタすると、木の葉がひっくり返って溺れてしまいます。いちばんいいのは、風の吹くまま、川の流れに身をまかせていることです。のんびり日向ぼっこでもしてゆらりゆらいとやっていると、そのうち、必ず岸が近づいてきますから、そのときにピョンと飛び移ればいいのです……」
病気になれば病気に心が囚われてしまう。それは自然なことである。
それを越えて人生を見つめるには何が必要か、私にはまだ結論は出ていないが、その答えは仏教とも決して無縁でないと感じている。
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