謎の馬頭観音

最近、ひどくがっかりしたことがひとつ。

この夏の猛暑で境内のシュウカイドウが一斉に枯れはじめ、かなり必死に水やりをしたのだが、最近、シュウカイドウの花や実の大半が何者かに摘み取られていることを発見した。花や実を摘まれたらもう来年は咲かないことになる。
あの水やりの苦労は何だったのかとかなりがっくりきた…


仏像散策

仏像散策

相変わらずブックオフオンラインで古書を購入。
最近の掘り出しものは中村元「仏像散策」。500円也。

あの中村先生が仏像の本を書かれていたのか!…と興味をそそられて買ったのだが、良く見ると

  中村元 編著

と書いてあるではないか…「著」と「編著」では全然中身が異なる。そこは大事なところだろうがキチッと書かんかい!とツッコミたいところ。やっぱりというべきか中村先生の原稿は少しだけで後は若手の学者さんが書いておられる。

ところが内容が予想以上に良いものだった…いろいろな仏像をとりあげた本というと総花的で、穏当な内容かと思いがちだが、この本は如来、菩薩、明王、天部といった30種あまりの仏像をとりあげ、その由来や歴史、代表的な仏像などを取り上げている。その中で時に通説を論破してみたり、あるいは政治的な話に踏み込んだりとかなり読み応えのある部分もある。

仏像の本でありながら仏像を切り口にした<仏教散策の本>としても楽しめる良書である。

当地舞鶴を含む若狭地域は馬頭観音への信仰が篤い。
現存する馬頭観音像の実に3分の1が若狭にあるとされている。
馬頭観音は頭上に馬頭を頂いた憤怒形の仏である。

本書によれば馬頭観音は「リグ・ヴェーダ」にその起源があるとされ、日本では平安時代初期に信仰がはじまったとされるが、鎌倉時代には馬を乗り物にした武士に信仰され、江戸時代には農耕用の馬の守り本尊とされたという。

馬頭観音自体というより、それぞれの社会での馬の位置づけのなかで信仰が展開しているのが面白い。
中部山岳地帯ではこの馬頭観音が道標、もしくは旅行の安全を祈願したと書かれている。

馬が方向を知るところから旅行の安全を祈願したことは容易にわかる。
どうせなら同じ理由から海上交通の安全を祈願することが多かったことも是非書いて頂きたかったところである。
若狭地域の馬頭観音への信仰が正に当てはまる。

古代インドでは馬が聖獣とされていた。そのことからイエス・キリスト聖徳太子が厩で生まれるという伝承つながった…と何かで読んだ記憶があるのだが定かではない。
確かに馬が聖獣であってこそ聖人の出生に関わるという記述が生まれることが納得できる。

馬頭観音が頂く馬がいかなる意味を持つのか、興味は尽きない。



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