古代仏教というドラマ

1992年に大友哲氏が山梨の清里大友天文台で発見した小惑星が『空海』と名付けられたそうである。
空海という偉大な宗教家のスケールの大きさにぴったりくる気がして面白い。


最近、いろんな本を読んでいていくつかの心にひっかかったことがある。

古代仏教に秘められた当時の人々の情熱である。
壮大なドラマといっていいかもしれない。

仏教を学ぶ
仏僧を招来する
仏教により鎮護国家を行う
仏像を造る

それらに賭けられた心の熱さと深さというものは現代人の想像を遥かに超えたものがある。

密教―インドから日本への伝承 (中公文庫)

密教―インドから日本への伝承 (中公文庫)

例えば歴代皇帝が師と仰ぎ、数千人に就法した恵果と若き空海の出逢い。
密教を大成し、東アジアの中心であった中国の傑僧が日本という極東の小国からやってきた無名の留学僧を受け入れ、自己の持てる全てを授けたとされる。
これなどは最高にドラマチックな気がする。

真言宗のトップである高野山の管長が誰も名前をしらないような第三世界からの留学生を後継者に指名したら、大騒動になるだろう。あるいはそれ以上の衝撃的な事件だったに違いない。

万葉びとの奈良 (新潮選書)

万葉びとの奈良 (新潮選書)

或いは日本に招来されて帰化した鑑真。

日本から命がけでやってきた僧侶に日本に渡航する弟子を推挙してほしいと懇願され、居並ぶ弟子達が誰一人として名乗りを上げないのを観てとって敢然と自らの渡航を決断したという。
鑑真さんだって、中国の国師といえる傑僧であった。
それが実に5度も渡航に失敗しながら最後には日本に渡航し、古代仏教の興隆に偉大な足跡をのこされた。


この熱さ、この数奇、この真摯さ…
日本という国の揺籃期の持つエネルギーなのかそれとももっと別の何かなのか…
興味の尽きないテーマである。




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