指先に意識は宿るか
- 作者: 傳田光洋
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
- 発売日: 2007/07/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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脳を情報処理の場と定義するなら、皮膚にも内蔵にも、あらゆる部分に脳が偏在することになるというのが傳田光洋氏の考えである。
脳=中枢ではなくて、身体のそれぞれにある情報処理が複雑にネットワークを作っているというのは非常に面白い。
ネットワークというと平面的な印象があってあまり正確ではない気がする。
昨日、触れたように、意識には時系列の階層があって、大脳が新しい層なら、内蔵や皮膚は古い層にあたるようである。(このことは意識の潜在性と関係があるのかないのか…)
広義の脳=情報処理は平面的広がりだけではなく、時系列の新旧を貫いて結ばれているらしい。
離れていながら、結ばれているというのは無線LANのルーターみたいなものだろうか…
沢山のルーターが相互に調律しあいながらネットワークを形成していて、その総体が意識なのだろうか。
- 作者: 傳田光洋
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/11/03
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最近面白い経験をした。
何カ月も顎関節が調子悪くて、口を大きく開けると軽い痛みがあった。
ところが1週間ほど前に妻に足の裏をマッサージしてもらったらなぜかこの顎関節の不調がたちまち治ってしまったのである。
ツボの刺激で離れた場所を治療することが多いが、それと同様のことが起こったらしい。
皮膚の表面にあるツボを刺激することで、離れた場所や身体の深部に刺激が届くというのはまことに興味深い。
東洋医学では人体は<気>、<血>、<水>の3つで構成されているとされる。※
ツボと離れた場所をつなぐ実体の無いものといえるのはやはり気であると考えざるを得ない。
(「第三の脳」には東洋医学や気についても述べられている)
「気がある」、「気が重い」、「気にかける」、「気をつける」…
日本語の“気”言葉では、気=意識という使い方が少なくない。
身体のあらゆる部分で情報処理を行っているということは、全身で意識=気?が派生していることになるのかもしれない。
気功というものに関心を持って20年近くになる。
ただ世間で気功として通用しているものを見ていると、あまりにも気功の本質とかけ離れていて、うかつに「気功をやっています」と言えない気がする。困ったことである…
長らく御指導頂いている気功家の山口令子先生が新しい著書を上梓された。
まだ全部読んでいないのだが、相変わらずワクワクするような本である。
「気」にはあなたを激変させる力がある!―心とからだの“浄化”と“強化”
- 作者: 山口令子
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2010/12/01
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【気の法則.COM】http://www.kinohousoku.com/
山口令子先生は気の感覚である「気感」を重視されている。
掌で気を感じることが気功の初歩であるが、その感覚はとても奥が深い。
トレーニングと共に気感はどんどん変化していくのである。
常識的な考え方では掌で感じた感覚は感覚神経を経て脳で処理されることになる。
だがもし身体のあらゆる部分で意識が生まれているとすれば、気の感覚もまた大脳の中だけでなく身体の無数の場所で生まれていることになる。
右手の掌に意識を置いて、指を一本ずつ動かしていくと、指の気感は変化する。
数か月もトレーニングすれば誰でも気感を感じるようになるが、こんな自明なことですら証明したり、合理的に説明することは難しい。
ところが何年も前から、右手の指を動かすと、何もしていない左手の指の気感も変化していることに気がついた。
左手の指は一切動かさない状態で、静止した指の気感だけが変化するのである。これも非常に興味深い現象だと思う。
(気功など信じないという方にとっては身体の離れた場所の気感が連動しているなどというの全くの笑い話だろうが。)
そんなことを考えながら指の微かな動きから生まれる気の感覚が全身に広がっていくのを感じ、愉しんでいる。
それは水面に投げられた小石が波紋を成して広がっていくようである。
意識はどこにあるのか…全く興味の尽きない問題である。
この指先に意識は宿っているのだろうか…時々そんなことを考える。
うぐいすや障子にうつる水の紋(あや) 永井荷風
※ 東洋医学の<血>の概念は現代医学でいう血液とも異なるし、また<水>も単なる水分ではない。念の為。
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