海辺の禅寺で祈祷

毎年1月18日は兼務寺院である多禰寺の年中行事の日である。
山の麓にある三浜(みはま)という地区で祈祷を行うのである
三浜にある或る禅寺で祈祷を行う。本日で新年の年中行事は全て終了である。



多禰寺の周囲は雪が多いのだが、車で海側の麓に下るにつれて雪は少なくなった。
海辺は潮風のせいか雪は少ないのである。気温も少し高いのだろう。


禅寺で真言宗の僧侶が祈祷するというのも珍しいが、この行事が一体何百年続くものなのかも定かではない。永い歴史を持つ行事を継承する一端を担うというのも僧侶にとってひとつの冥利ではないかという気がする。

禅寺について接待を受けている時に、御住職や地元の役員さんと歓談。

最初に辻に立てる木札に真言を書いて渡す。
辻々に真言を書いた札を立てる風習が当地には残っている。

そういった風習もどんどん廃れつつあるが、畏れを無くすということは、人間が利口になるということである、と同時に、傲慢不遜になることではないか、そんなことを禅寺の御住職を御話した。御住職は地元の歴史に詳しく、年中行事の保存にも大変熱心な方でいつもいろんなことを教えて頂く。


御住職といろんなことをお話して、とりとめもないことを考えていたら…法衣に着替えるのを忘れてしまった。
新年の年中行事は改良服なのだが、この村の祈念だけは紫衣という法衣に着替えておこなっていたのである。うっかりして改良服のまま行事を行ってしまった。

私のそばに村の中から選ばれた小学生の男の子が二人神妙な顔をして座っていた。
この二人が裃(かもしも)をつけてお経の入った経箱を持って村の家を一軒づつ回るのである。「お経さんが入ります」と言って家々を回る。
恐らく「般若経」の力によって除災招福を願うのがこの行事の元型なのだろう。
子供の数も減って、行事の存続も危ぶまれているそうである。

真言を唱えて祈祷を始めると暫くして、子供の忍び笑いが聞こえた…
大人が意味不明の言葉を真剣に唱えていることが可笑しいらしい。
ツボに入るというのか、子供の忍び笑いはどんどん大きくなった。
子供らしいと思って、一瞬、気持を向けたのが悪かったのか、作法に集中していた気持ちがきれて、なんだかこちらも笑いたくなってきた…

私が笑うわけにはいかないので眼をカッと見開き、渋面を作って必死で笑いをかみ殺していたら、しばらくして笑いの発作が通り過ぎていってくれた。気を取り直して、祈祷を続行た。洒水といって真言で水を加持して、その加持した水を振りかけて浄化する。

今回は二人の子供達にも加持を行った。何かを感じてくれればいいと思ったのである。
自然や眼に見えない存在を知りながら、やはり現実の世界で逞しく、賢く生きていける大人になってほしいと願わずにはいられなかった。


祈念を終えた後、近くの公民館で手作り郷土料理の接待を受け、この村を後にした。
公民館を出る頃は雨が降っていたが、車で峠を越える坂道を上っていると、雨は雪に変わっていった。

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