四国にて、宇宙始原の声を聴く


善通寺で行われた教学講習会。

1日目は種智院大学名誉教授で大僧正の山崎泰廣(やまさきたいこう)師による阿字観の講義と実習。

推定70名が善通寺の講堂に集まりました。
阿字観とは真言宗を中心として行われている瞑想法である。
月輪の中に蓮華とア字の書かれた掛軸を前にして座禅を行う。

真言密教・阿字観瞑想入門

真言密教・阿字観瞑想入門

最初は「大日経」を中心とした講義。これが…


メチャクチャ面白いっっ!


真言宗で読経されることが多いのは「理趣経」である。
一方、「大日経」と「金剛頂経」は「両部の大経」と呼ばれる基本経典で、真言宗を支える2本の揺るぎない柱なのである。(「大日経」「金剛頂経」はそれぞれ胎蔵界マンダラ、金剛界マンダラに対応している。)

若き日の空海東大寺大仏殿にて真智を得ること祈誓して夢告を受け、その夢告に従って久米寺に行き、そこで「大日経」を学び、入唐を決意したとされる。


山崎師は実に60年にわたって「大日経」を研究しておられるのである。
この偉大な経典を掌(たなごころ)の上で転じるが如くお話下さる。
真言宗を学ぶものにとって至福の時間でした…

素晴らしいと感じるは「大日経」をガチガチの古典としてではなく、現代人にとっても分かりやすくお話下さる点。


虚空蔵とダークマターの関係。
ユングに先んじて大日経に現れる夢判断の話。
仏の世界と宇宙のゆらぎ。
唯識の八識を超える「大日経」の十識…


山崎師は学徳を積まれる一方で、求聞持聡明法など各種の行法を実践しておられる。
分かりやすくいうなら文武両道の達人である。大変に素晴らしい方だと感服。



阿字観の前段階として阿息観を習う。
「ア」という音を唱えながら座法を行う。

母音を唱えるというのは大変重要な意味があるのではないか…というのは前から気になっていたところで、大変に興味深い。
この場合の「ア」は単なる音ではなく真言であり、尚且つ人間に内在する、仏性、或いは宇宙に遍満する大日如来でもある。
大勢の真言宗の僧侶が「アー」と長音で唱える声が広い講堂に響いていく…


太古、宇宙が永劫の混沌未分の時代を経て、形ある<有>が生まれた。
突然、<有>が生まれるのではなくて、最初は響きのようなものではなかったか。
その響きが宇宙に木霊し、浸透し、微細なものから極大なものまでに伝わっていく。
その響きは恐らく最も単純な「ア」の音ではなかったか…


山崎師の言葉を聴いていると、とても生々しく、宇宙始原の時代の「ア」の響きが聴こえるような気がした。感動感動感動…そしてもしかすると、否、多分、始原の宇宙に響いていた「ア」の音は今でもこの宇宙に響いているのではないか、乃至は、この宇宙は平行して存在していて、無数の宇宙の中には、未だに、混沌未分であって、「ア」音の響き渡る宇宙があるのではないか…ア字を観ずるとは、このア音を観じ、感鳴し、アクセスすることでないか…

妄想はとどまることがない…




いよいよ阿字観の実習。

月輪を現す、円形の中に蓮台とア字が描かれたものを前に座るのだが、今回は講壇の上に置かれた、掛軸を観じて座る。

ところが私の前に座られた方の頭が丁度、視界に入り、つるつるに剃髪された頭と、月輪が並んで眼に入る…


月輪が2つ…メチャクチャ…集中しづらい…


実習は上手くいかなかったが、宿坊に帰ってから、一人で実習した。
当分、この阿字観にハマりそうな予感がする…


【告知 その1】

「生きがいの創造」シリーズの著者である飯田史彦先生の講演会を舞鶴で開催することが決定いましました。
期日は10月23日(日)。主催は舞鶴東仏教会です。詳細が決まりましたら、当ブログにて告知を行います。

[決定版]生きがいの創造

[決定版]生きがいの創造


【告知 その2】

2月3日午前10時より節分祈願祭が行われます。年に一度の本尊波切不動明王様ご開帳の機会です。(開帳は法要の間のみです)
祈願お申し込みはお早めに願います。(当日参拝できない方、遠方の方には後日、御札を送らせて頂きます)詳細はHPをご覧ください。http://ujimaccya69.hp.infoseek.co.jp/



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