人は死んだら何キロ歩けるか

 

地元の仏教会では毎年、老人ホームで法話を行う。
今年は私に法話の依頼があった。

老人ホームの会場には50人余りのお年寄りが着席。推定年齢層は70歳から90歳。
とりあえず様子を見るために冒頭でお笑い系のネタをひとつ。だが…


全くウケません。ピクリとも…(泣)

普通、話をすると多かれ少なかれ反応があるのだが、ここでは全然反応が返ってこない。これはかなり辛い…

他にもジョークとか、詩の朗読とか簡単な体操も準備していたが、全く自信が無くなったので一切カットして本題へ。

今回用意したテーマは『死んだらどうなるか』。

少し前に臨済宗の布教師さんの話を聞きに行った。
布教師さんは仏教で言い伝えられている死後の様子を話された。これが面白かったのである。

三途の河は渡る方法が三通りなので三途の河であるとか、死後7日ごとに冥府で裁きを受け、その裁きの度に本地仏という仏様が現れて弁護してくれたり、裁く方も浄玻璃の鏡という生前の所業を映す鏡が用意されていて、証拠映像として提出されるとか…

大半のことは私も知っている内容なのだが、お寺でお坊さんから聞くと不思議な説得力がある。
私も同様のものをやってみようと思って、本やネットで資料を集めたのである。

古来、人は死後に49日にわたって冥府を旅するとされる。

故人に着せる装束は旅姿のことが多いし、杖や笠、松明をはじめ、お弁当まで御棺に入れるところがある。死ぬと同時に旅が始まるのである。

ある資料にこんなことが書かれていた。

「死後、初七日の間に故人の歩く距離は472キロである」

…って、長すぎ!

老人ホームでの法話は殆ど反応がなくて淡々と話を進めたが、「死んでからまず472キロ歩きます」と言ったらちょっとザワッとなりました。
そりゃそうだろう(笑)お年寄りを脅かしてどうする…と内心、自分にツッコミ。

そんな感じで49日の冥府の旅を1時間かけて話した。
お年寄りの皆さんの心に何かが残ったかどうかはなはだ心もとない。
まだまだ勉強不足だと反省中である。

ひとつだけ話忘れたことがある。
これは私が小学生の頃、本で読んだ話である。

地獄の世界は多種多様だが亡者の前に御馳走の乗った御膳が並べられているところがある。ところが与えられる御箸は何メートルもある長いものなので亡者は眼の前の御馳走が食べられずに苦しんだり、喧嘩したりしている。

ところが極楽にも同じような場所があり、沢山の御馳走と長い長い御箸が用意されているが、極楽の住人達は自分の長い箸で周りの人々の口に御馳走を運んでいるので皆お腹一杯御馳走が食べられるのだという。なかなか示唆に富む話である。


昔から言い伝えられてきた死後の旅が100%事実ではないと思うが、全くのフィクションでもないと感じる。そこにはいろんな意味が隠されている。
それをどのように伝えていくかは今後の課題だと思っている。

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もうじき本山の同期生の結婚式だが、友人代表のスピーチを頼まれてしまった。
数えてみると結婚式での友人代表のスピーチはこれで4回目である。毎回、準備に四苦八苦して、当日もスピーチが終わるまでは気が抜けない。

法話というのは同じ話を別の場所で行っても構わない。
むしろ繰り返して話たほうが、聞き手の反応も予測できるようになる。

だが結婚式のスピーチは新郎新婦との個人的なエピソードを話すことが多いので使いまわしがきかない。これはこれでなかなか難しいのである。


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いつもコメント頂く一風書斎様が地震関連リンク集をまとめておられます。
大変、充実した内容ですので是非ご参照くださいませ。
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飯田史彦先生が被災されたとの情報があり現在確認中です。

「生きがいの創造」シリーズの著者である飯田史彦先生の講演会を舞鶴で開催することが決定いましました。
期日は10月23日(日)。主催は舞鶴東仏教会です。詳細が決まりましたら、当ブログにて告知を行います。

[決定版]生きがいの創造

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当山所蔵の快慶作“深沙大将立像”は7月16日から28日まで奈良の国立博物館に出展されます。その前後は不在となりますので、当山の仏像を拝観希望される方は御留意下さいませ。
『天竺へ 三蔵法師3万キロの旅』
http://www.narahaku.go.jp/exhibition/2011toku/tenjiku/tenjiku_index.html




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