室生寺の傘 明日から涼しくなります  ブッダの一番スゴイ場所

日本文学者のドナルド・キーン氏が日本に帰化されることを決断された。


本日の「クローズアップ現代」でキーン氏の半生と今回の帰化をめぐるインタビューが放送された。


キーン氏の繊細な、優美な情緒あふれるインタビューだった。
キーン氏の言葉の中に日本人が忘れかけている何かが在るような気がする。


「日本人の何が一番すきですか?」という質問に、氏はしばし絶句され、「何でもないことが」忘れられないと言われる。

一例として奈良の室生寺で雨に降られたら、老女が傘を貸してくれた。
返せないかもしれないと言うと、いいんですよと言われた…そんなささいな、日本人の親切な心が忘れられないのだと語られた。


氏は日本文学者として現在も研究と執筆に邁進されているが、今後も氏の御活躍を祈念したい。
ちなみに「鬼怒鳴門」というのが氏の漢字表記だそうである。




それにしても暑い。まだ6月だというのに。

本日は2時間、梅林の草刈りの後、1時間収穫。今回の収穫は15キロ。
今年は消毒を一切していないのであばただらけの梅である。


明日は庫裏の客間にクーラーの設置工事。

毎年8月16日の午後3時から施餓鬼法要が客間で行われる。
昨年は酷暑だったが西日の射す客間の暑さといったら…

読経していると汗が背筋を流れているのがはっきり分かるのだ。
客間にクーラーが無いのは檀家さんも知っているので昨年はお参りもまばら。

結婚式の披露宴も8月の最中にこの暑い暑い客間で行ったが、あまりの暑さ参加者も言葉少なかったのが忘れられない。


世の中はエコと節電の大合唱だが、

エコではなくエゴ!

とそしられるかもしれないが、これも檀家さんの為と割り切ることにしている。


涼風(すずかぜ)や青田のうへの雲の影    森川許六



仏教とヨーガ

仏教とヨーガ


仏教徒に仏教史上で一番尊い方は誰か?と尋ねれば一番多い答えは「ブッダ」だろう。
では「ブッダの身体で一番尊い場所は?」と問われたたらどう答えるだろうか。


こんなことが仏典に書いてある。


地獄に落ちそうになった天人が帝釈天に救いを求めると、自分には救う能力が無いと言って釈尊に救済を願う。
すると釈尊は頭の頂きから光明を放ち天人の業障を清めて地獄から救った。


仏(ブッダ)への信仰のバリエーションとしてブッダの頭頂への特殊な信仰があったというのである。
仏の頭頂は「仏頂尊」として死者の罪障消滅や追善に功験があるとされた。


「陀羅尼」というのはサンスクリット語の呪文である。
本山で毎日唱えた陀羅尼のひとつが「仏頂尊勝陀羅尼」だが、これも仏頂尊への信仰に基づくと考えられる。


それにしても<頭頂からの光>とはなんだろうか?
なぜ頭の頂部が特殊な力を持つのだろうか?


これはヨーガの思想と関係があるように思う。


ヨーガでは(というかインドの古い身体観では)身体の中心にチャクラと呼ばれる7つの霊的なセンターが並んでいるとされる。

下位のチャクラほど動物的、生物的エネルギーが強く、上位のチャクラほど精神性、霊性が高い。
一番上位のチャクラである頭頂のサハスラーラ・チャクラは最高のチャクラであり、その開発がヨーガの大きな命題であった。

チャクラは車輪或いは蓮の花のように描かれることが多いが、時にはまるで頭上に傘蓋が開いたように描かれる。


傘蓋は仏教の重要な荘厳の一部であり、塔婆の上部も傘蓋を模したとも言われる。


一般にインドでは貴人に日傘をさしかけたことが傘蓋の起源とされるが、どうも私には傘蓋の起源はこの最高位のチャクラを意味しているようにも思うのだが。


ちなみに仏の眉間にある白毫も6番目のチャクラであるアージュニャー・チャクラの位置と同じである。
白毫は単に仏像の特徴として輝石を嵌めこんだだけではなく、もっといろんな意味が隠されているように思う。
仏教とヨーガとの間にはまだまだ深い繋がりがあるように感じていて、もう少し勉強してみたいと思っている。



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